もちろん、新聞社を立ち上げて発行する事は自由ですが、現実的には新規参入は難しいようです。個人で同人誌みたいな感じで細々と発行したり、何か別の仕事があり、それの広報という形での発行(つまり、それ自身で利益を上げるのではなく)などなら充分可能でしょうが、いわゆる朝日読売毎日などの全国紙、あるいは各都道府県にある地方紙のような形で発行するのはチト難しいですね。
今現在、各都道府県にはたいてい1紙以上の県紙が存在します。ところが、滋賀県だけはそれがありません。何十年か前に潰れてそれっきり、というところです。詳しい事情は割愛しますが、「滋賀県には県紙が無い、だから地元にも県紙を作ろう!」と、地元の財界などが立ち上がって新聞社を作りました。それが、昨年4月に創刊された「みんなの滋賀新聞」(みんなで作る新聞社発行)です。
この新聞社は、創刊前から様々なPRを展開してきて、私自身も創刊前から期待していましたが、9月17日付を以って休刊、以後10月に社員全員解雇、11月に破産、という結果になりました。
その理由はいくつか挙げられると思いますが、共同通信に加盟できず(ある程度の実績が無いと加盟できないらしい)、全国ニュースが載らなかったのは大きいです。私も創刊から一ヶ月間は郵送購読しておりましたが、滋賀県の情報誌としてはそれなりに悪くは無いが、他の日刊新聞と比べると全然・・・というのが正直な感想でした。また、この間に総選挙がありました。この時も、公職選挙法の規定で「創刊から半年未満の新聞は選挙期間中、選挙報道が出来ない」というのに引っかかり、選挙終了まで一切の選挙報道が出来ませんでした。
さらに、最近の(特に若年層の)新聞離れ、インターネットの普及、そして滋賀県には既に隣の京都新聞が大きなシェアを持っていること、などから互角に渡りあうだけの力を持つ前に力尽きた状態です。特に、部数が伸び悩むと広告も付きにくくなり、さらに収入減、読者離れが・・・と悪循環になります。
ちなみに、今存在している新聞社の多くは、戦時中に政府による「一県一紙体制(意味はそのまま。各県に地方紙1紙)」によって、半ば強制的に整理統合、誕生した新聞です。それ以前5000を超えていた新聞社を、54か5に統合したわけです。これによって、財政火の車だった新聞社も、地方紙として経営が成り立つだけの基盤が出来た、と言ってもよいでしょう。
現在、日本国内の一日の新聞総発行部数は約5300万部です。刷れば刷っただけ売れる、という時代から、市場が飽和状態の今日では、事情も違うというところでしょう。
それと、新聞社が他の出版社と違うところは、印刷工場を自前で持っているところが多いという点です(それだけ資本金が要る)。
勿論、何事もそうですが、やれば必ず失敗する、と言うものでもないので、頑張ってください。ちなみに、第三種郵便は、それなりの発行頻度と部数、それに登録料があれば認可は受けられます。それについては郵便局に問い合わせるのがよいでしょう。