確かにどこかの漫画などでは「検死官」いたり、「監察医」が検死したりしていますね。実はかなり違うのです。この問題はそこから説明しなきゃならないです。
では、日本の制度を説明しますね。
そのあと、質問の答え。
変死・変死疑(異常死体といいます:自殺、DVや虐待死も入ります。異状死体とは違います。)の死体は普通、司法警察員(警察)により代行検視が入ります。(本来、検察庁(司法機関である検察がにより検視する:刑事訴訟法229)司法解剖はふつう大学医学部の法医学教室の法医学の先生が行います。ちゃんと標本をとりますので、きちんとしていれば証拠がなくなることはあまりないでしょうね。
行き倒れなどは行政解剖ですがこれはすでに死んでいるので死体解剖保存法の管轄で、このような犯罪に関係がない異状死体(異常死体とは別)の解剖を監察医が行うことになっていますが、実情、臨床医全てが死体検案医として独居老人の一人で死んだものなどの検死を行い、死体検案書なるものを書かねばなりません。実は異状死、あるいは異常死かもしれんのに。証拠なんて残りません。すぐに灰です、灰。
日本の制度はちょっと、ぐちゃぐちゃな感じもしなくはない。
パトリシア・コーンウェルの検屍官という推理小説はなかなか好きですが、検死官(コロナー)や監察医は捜査権があるのあんなかっこいいことができるのです。日本の法医学の先生には捜査権はありません。検死官自体いません。外国では医療機関は医事紛争の兆候が見られた場合は直ぐにコロナーに報告し解剖して徹底して究明して医事紛争が水掛け論になるのを防ぎますね。
ご質問へのお答え:普通の医師の行う”検死”(検案書を作ります)ではありうるというか証拠残りません。欧米のような”検屍官”制度は日本にありません。司法解剖が法医学教室の先生によって行われたときが法医解剖で、これがご質問の本筋でしょうね。法医学の先生には捜査権がなく、捜査と一体になった司法解剖になるかどうかはチームワークに依存する結果になります。でも、標本とっていなかったということはあまりないです。とりまくります。毒カレー事件での被害者などからの砒素検出なんてばっちりでした。その辺は信頼できる科学力があります。
ただ、医師が司法に所属して捜査権があると、もっと切れ味が変わってくることは間違いないでしょうね。
この辺の法律を議論する前に、まだたくさんの法整備をしなければいけない日本。ちょっと疲れた。
お休み。
お礼
なるほどです。 医者には捜査権というものがなく、独立していているのですね。 法に関する話も大変参考になりました。ご回答ありがとうございました。