ご質問の『増資』は、有償増資、いわゆる公募増資を前提にされておられると思います。
・キー・ワード
増資は企業にとって両刃の剣
・説明
増資は、企業活動を行なう上で、メリット・デメリット両方をもたらします。
最大のメリットは自己資本の充実です。設備投資・借入金の返済等、
増資の目的は様々ですが、自己資本が充実し、企業財務の安定性が増す事は事実です。
最大のデメリットは、自己資本利益率の低下です。また、将来の配当負担の増加も
場合によっては考えられます。
負債の増加・資本の増加ともに企業にとっては資金調達です、しかし、
その資金提供者にとっては、リターンとリスクの関係が異なります。
具体例として、今、倒産・倒産寸前という極端な例ではなく、通常の
利益を稼ぎ出している会社を前提に考えますと、
負債は、返済期限・金利が事前に定められ、その企業の業績浮沈と関係なく
資金提供者はリターンが得られます、しかし、増資資金の提供者は、
企業業績が悪化した場合、減配・株価低迷(実損or含み損)とそのリターンに直結します。
すなわち、企業倒産となった場合、債権者・株主ともにリスクを負いますが、
企業業績という”ビジネス・リスク”に対しては、債権者は負担が少なく、
株主・増資資金提供者は負担が「大」と考えられます。
このため、増資資金提供者というリスクテイカーは、企業業績に敏感に
ならざるを得ません、そのため、企業側も、ある程度、将来の業績に自信が
ある時を選んで増資を行います。簡単に資本市場から資金調達ができるから、
と言ってむやみやたらに増資ができない理由がここにあります。
負債・金融市場は、企業の安全度を尺度にしますが、増資・資本市場は、
企業の業績・成長を尺度にします。
ひょっとして、釈迦に説法だったかもしれませんが、考え方のご参考・ヒントになれば、
幸いです。
では、では、がんばって下さい。
お礼
いえいえ、とても参考になりました。 どうもありがとうございます。