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戦車の進歩がよくわかりません。
戦闘機などの軍用機の進歩というのは第二次大戦中のものと比べて現代の軍用機は格段の進歩を遂げ、外観も、性能も、攻撃力も昔と比較にならないほどのものになっていることが結構わかります。しかし、戦車というのは第二次大戦中のものと比べて外観もあまり変わっているように見えませんし、戦闘機ほどの昔と今での違いがあまりよくわかりません。実際には装備や性能はここ数十年で相当の進歩を遂げているのでしょうか。
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第2次大戦末期、防戦一方となったドイツ軍は、とにかく敵戦車を破壊できるよう、機動力を犠牲にしてでも重装甲・重武装で固めた重戦車(ティーガーB型など)を配備していました。これに対して連合軍は、正面から対抗できる重戦車(JS-2mなど)と、正面から対抗は出来ないが、生産性を向上させて大量に配備することにより数で対抗、機動力を活かして側面や後方に回り込んで撃破するタイプの中戦車(M4シャーマンやT34など)を生産しました。 戦後は東西陣営で戦車の開発競争が始まります。戦後第1世代戦車とよばれるソ連のT-54/55、アメリカのM26、イギリスのセンチュリオン、日本の61式戦車などは、第2次大戦における中戦車の延長線上にあり、主砲口径は90-100mm、最大装甲厚は100-200mm、照準は砲手のカンに頼る部分が多く、平均交戦距離は1000m前後を想定していました。このころはまだ重戦車というカテゴリーも存在し、前線のやや後方にとどまり、敵戦車を遠距離で撃破する役目を持っていました。 この第1世代戦車を超えるものとして開発されたのが戦後第2世代戦車です。まず主砲口径を105-125mmにアップして威力を増大させました。照準器も、三角測量を利用した基線長式測距器や弾道計算機を組み合わせた高性能なものになり、距離1500m前後でも十分な命中率が得られるようになりました。防御に関しては、各国で違いがみられます。これは次第に発達してきた対戦車ミサイルへの対処によります。ドイツのレオパルト1やフランスのAMX30、日本の74式などは装甲を薄くして機動力を重視しました。当時の対戦車ミサイルは兵士がコントローラーで操縦するタイプが主力でしたので、走る向きを突然変えられると対応しにくかったという背景があります。イギリスのチーフテンは逆に重装甲を施し、撃ち抜かれないようにしました。ソ連のT-62やT-64はセラミックを封入した複合装甲を採用し、ミサイルに対抗しました。この頃にはわざわざ重戦車を別カテゴリーとして開発・保有する意味がなくなっており、主力戦車というカテゴリーに統一されることとなりました。 各国の第2世代戦車が出そろった頃、第4次中東戦争が勃発しました。この中で、世界最強と謳われたイスラエル機甲部隊がエジプト軍歩兵部隊の対戦車ミサイル・対戦車砲・個人携行対戦車ロケット複合陣地にぶつかって壊滅。一時は戦車無用論まで飛び出す騒ぎとなりました。 これを受けて開発されたのが戦後第3世代戦車です。対戦車ミサイルはさらに高性能となり、照準を戦車に合わせておけば自動的に命中するようになったため、機動力でかわすのが困難となりました。よって、各国とも複合装甲を採用して防御力を増大させ、対戦車ミサイルに対抗しています。車重は50-65トンにも達しました。主砲は120mm-125mmクラスとなり、射距離2000mでの装甲貫徹力は500-600mmに達しました。この距離でも確実に命中弾を送り込めるよう、デジタルコンピュータ、レーザー測距器、砲安定化装置、環境センサーなどの高性能射撃統制装置を搭載しています。これにより、第2世代では静止目標に対する射距離1500mでの初弾命中率が50-60%であったのに対し、第3世代では射距離2000mでの初弾命中率が90%に達しています。ちなみに、第2次大戦での平均初弾命中率は10%未満でした。さらにパッシブ式赤外線暗視装置により、高い夜間戦闘能力も付加されています。ミサイルをかわすことは出来ないまでも機動力は強化され、1200-1500馬力のエンジンを搭載し、最大速度は70km前後と第2世代よりも10-20kmくらい速くなりました。具体的な戦車名で言うと、アメリカのM-1、イギリスのチャレンジャー、日本の90式、ドイツのレオパルト2などがこれにあたります。 この世代差が如実に示されたのが湾岸戦争です。戦後第3世代戦車を投入した多国籍軍に、イラク軍の使用した戦後第1/第2世代であるT-55、T-62、T-72は射程外から撃ち抜かれ、歯が立ちませんでした。 湾岸戦争後に登場したのが戦後第3.5世代戦車です。これまでは個々の戦車のパワーアップでしたが、この世代では車両間の情報伝達能力を格段に強化しています。乗員の目と耳(無線機)での情報収集には限界があり、味方の位置すら正確につかめないことがあり、湾岸戦争でも同士討ちが多発しました。いくら強力な武器を持っていても、敵にぶつけなければ意味がありません。これを解決するため、高性能の通信装置や戦術インターネットなどを使用し、各車両・各部隊で得た情報を互いに交換したり、統合したりすることにより、敵と味方がどこにいて何をしようとしているか正確につかむことができるようになりました。具体的な戦車名で言うと、アメリカのM-1A2SEPやM-1A1D、フランスのルクレールなどがこれにあたります。 中身はこれだけ進化していますが、車体、不整地踏破能力の高い履帯(いわゆるキャタピラ)、武装を搭載した砲塔から構成される基本構造は不変ですので、外見はあまり変わっていません。 (軽戦車は省きました。)
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- calamity_end
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No.8さん、No.9さんがとても詳しく解説しているので、僕はそれ以外の事を一言だけ。 まだ研究開発段階ですが、電気エネルギーにより弾を発射する電子砲が注目されています。戦車砲に限らず、すべての弾薬は火薬を使って発射していますが、電子砲はこれの代わりに電気エネルギーを使うというのです。 電子砲が実用されれば、火薬に比べて以下のようなメリットがあると考えられます。 ・音が少ない ・煙が出ない 上記2項目については、偽装という点で非常に大きなアドバンテージになります。現行の戦車は撃つと煙や音により居場所が分かってしまい、敵に暴露してしまうので必ず射撃陣地を変換しなくてはいけません。 ・安全面で有利 戦車砲弾が暴発する事故が少なくなるでしょう ・エネルギー効率が高い 戦車の砲弾(徹甲弾)は運動エネルギーによって敵戦車の装甲を打ち抜きますが、電子砲だとより高い運動エネルギーが得られます。 日本の最新型戦車は90式戦車ですが、日本の国土にそぐわないこと、10億で高価なことから、新型戦車が開発されています。まだ、実用には至っていませんが、日本の国土に適合するように、90式戦車よりはコンパクトになるそうです。それでいて、より攻撃力を増したようにするそうです。
お礼
回答ありがとうございます。すごいですね。電子砲というの初めて聞きます。お目見えしたいものです。
- been
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戦車単体のカタログスペックについてはマニアの方々から回答されているので、運用面の進歩について説明します。 戦車の運用思想には2つの流れがあります。一つは、戦闘の主役を歩兵とする立場から、歩兵の支援、特に敵の陣地に最初の穴を穿つ「キリ」の役割を期待する考え方です。このような運用思想からは、速度や瞬間交戦能力よりも装甲防護力と地形踏破能力が重視された戦車が生まれてきます。イギリスのクルセイダーやクロムウェルなどがこれにあたります。 もう一つは戦車を戦闘の主役に位置付ける立場から、敵の戦車を撃破する主力兵器の役割を期待する考え方です。このような運用思想からは、火力と機動力を重視する戦車が生まれてきます。ドイツの4号戦車やソ連のT34などがこれにあたります。 しかし、これらの戦車は特定の運用思想に依拠して開発されているため、しばしば想定外の事態が生起する戦場ではその欠点が目に付くことになります。 そもそも、戦闘力は3つの要素から成っています。火力、機動力、防護力です。歩兵支援に特化した戦車は機動力に劣り、戦車戦に特化した戦車は防護力に問題があり、いずれの場合も(陸上兵器としては)異様なほどの巨体をもてあまし、対戦車火器の進歩によって時代遅れとなる結果となったのです。 そこで今日の戦車は、上記の3要素(火力、機動力、防護力)のバランスを重視し、いずれの要素においても外国の戦車に劣らないように設計された万能戦車、いわゆるMBT(主力戦闘戦車)の形態をとるようになっています。 また、戦車戦闘は進展が早く、数時間の戦闘で数十両以上(数個大隊~連隊くらい)の戦車が一挙に損耗してしまう事態も起こり得ます。そこで、ダメージ・コントロールの技術が重要となります。敵の弾が命中してもその損害を極所に抑え、乗員を保護し、簡単に修理できる構造が必要とされています。各種の複合装甲やパワー・パックのコンポーネント化などはこのような運用要求から採用された技術です。 また、戦車部隊の損耗状況を上級司令部がリアル・タイムに把握するため、生きている戦車をデータ・リンクにより表示するシステムも採用されつつあります。 このように、現在の戦車は、単体としての性能(火力、機動力、防護力)向上はもちろん、戦場における生残性や整備性、部隊(集団)としての戦力発揮の可能度など、運用上必要とされる様々な性能を向上させるための研究・開発がなされつつあるのです。
お礼
運用面という角度からの回答まことにありがとうございます。戦車はまだまだなくならないのでしょうね。
- k99
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戦車というものが基本的にWW2によって完成されたモノである、という事があります。 まず、基本となる格好は車体の上に砲塔と主砲を具えるというもの。これは1917年にフランス人が発明しましたが http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC_FT-17_%E8%BB%BD%E6%88%A6%E8%BB%8A この後、それが有効かを確かめる機会が無かったことから、バカでっかい車体の上に砲塔&大砲を一杯載せるなどのアイデアが実行されました。たとえば http://ja.wikipedia.org/wiki/T-35 こんなのも「強いんじゃ」とおもって作られたわけです。 が、その実用性がWW2で試されるとトタンにダメダメなことが判ってしまいます。 基本的にはこの1917年のデザインを今の戦車も引き継いでいるわけですから、外観があまり変わっていないように見えるのも当然です。あとは中味のテクノロジーがどのくらい変わったかだけです。 飛行機のようにレシプロからジェットへの変化(と音速化)や、ミサイルの登場などのようなドラスティックな変化は起きませんでした。 逆に言うと最初のデザインが完成されすぎていたのかも知れません(ミサイルは地上でも使われていますが、大砲の方がコストや使い易さ、威力などで勝っており、戦車の主たる武器にはなりませんでした)。 WW2の前や最中にも、基本デザインに対する挑戦は続きました。 装甲をけずってでも速力を得ようとするもの(巡航戦車)、敵の戦車を待ちぶせて攻撃することに特化したもの(駆逐戦車)、砲も装甲もとにかく重厚にし、速度を犠牲にしたもの(重戦車)などのバリエーションが産み出されます。 しかし、戦争が終わってみると、一番使えるのは結局の所、機動力、火砲、装甲をバランス良く具えて何にでも使えるという性格のモノ(中戦車、後に主力戦車)が一番良い、という極めて真っ当な結論に到ります。戦争後の軍備の効率化もこの一本化を後押ししました(複数の種類の戦車を開発する余裕がなくなった)。 で、結局いまの「戦車らしい」戦車が造りつづけられることになったのです。 WW2後の戦車は製作された年代によって第1から第3までの世代に分けられています。 第1世代は60年頃までに作られたモノで、主砲口径が90ミリくらい。以前のモノと比べると機械的な向上が主です。 第2世代は70年代頃のモノで主砲が100ミリくらい。一部機能のエレクトロニクス化が図られます。 第3世代が今の戦車で大体90年代くらいまでに作られたモノで、主砲が120ミリくらい。 ここで、外観上はあまり変わらないモノの、幾つかの技術革新が起きています。 まず、積んでいる砲が、従来の大砲から「滑腔砲」というものに変わりました。これは、矢のような形の細い砲弾を射出し、より高速で敵戦車にぶつけることにより強大な破壊力を得ようと言う、それまでになかった砲です(見た目は相変わらずフツーに大砲なのですが)。 これを受ける装甲も、それまでは鉄板(防弾処理はしたありますが)だったものが、セラミックや複数の種類の防弾板を張り合わせた「複合装甲」が登場します。これも叩き割ってみれば差は判りますが、外観はタダの鉄板。外観は大きく変更されません。
お礼
参考URLなどの紹介もありがとうございます。滑腔砲というものも初めて知りました。これは画期的なものですね。主砲の口径も昔と比べアップしていますね。
- buchi-dog
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第二次大戦当時と現在で分かりやすい違いは「装甲」でしょうか。第二次大戦当時の装甲は「堅くて厚いことによって弾を跳ね返す」ものでしたが、今の装甲は全く違います。「複合装甲」「爆発反応装甲」など、第二次大戦当時には全く存在しませんでした。それに対応して、戦車砲の威力も格段に向上しています。 このサイトを読めば、概略が分かると思います。何が書いてあるのか良く分からないかもしれませんが... http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams01/mbt2.html 第二次大戦当時の戦車と今の戦車が撃ち合えば、当時最強だったタイガーでも一発で串刺し、タイガーの戦車砲は現代戦車に全く歯が立たないでしょう。戦車の基本である敵戦車破壊能力だけでも大きな差があります。 さらに、電子兵装の進歩はNo3・No5の方が指摘されるようなことです。タイガーが現代戦車に気づく前に、遠距離から一発撃たれてお仕舞いです。
お礼
回答ありがとうございます。敵砲弾を跳ね返す装甲というのはすごいものです。暗闇でも狙い撃ちできる現代の兵装はありがたい(?)です。
- urankun
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命中精度が格段にあがったそうです。昔は手動だったので、斜めの丘を登る自分と、真横の谷を走る相手が打ち合うと、ほとんど当たらなかったみたいですが、今は電子制御で照準を決めるので、次々あたるそうです。 実際、イラク戦争にてイラク戦車と米軍戦車が戦闘になった場合、ほとんどイラク軍はなすすべもなく壊滅になったみたいです。
お礼
回答ありがとうございます。肉眼で物を捕らえるのと電子の目とではわけがちがいますね。イラク戦争での戦死者の数にも相当の差が両軍であります。
- ipa222
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第二次大戦当時の自動車と現在の自動車程度の違いはあります。 当時の大砲と現在の大砲との違い程度の違いもあります。 船もその程度の違いですね。 飛行機の進歩だけが非常に大きかった訳です。
お礼
回答ありがとうございました。ほう、航空機の進歩がとりわけ目を見張るものがあったということですね。ステルス戦闘機など異様な形状をしていますし。
- ex_hmmt
- ベストアンサー率48% (726/1485)
まず、搭乗人員がかなり減りました。 たとえば、ドイツの5号戦車(いわゆるタイガー)の乗員は5名です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/5%E5%8F%B7%E6%88%A6%E8%BB%8A 90式戦車 http://ja.wikipedia.org/wiki/90%E5%BC%8F%E6%88%A6%E8%BB%8A の乗員は3名です。この差は大きい。要するに、それだけ自動化されてるって事です。 さらに、タイガーでは走りながら撃ってもあたるものではなかった (威嚇以上の意味はなかった)ですが、90式では走りながら狙えるだけの 射撃装置になっています。不整地走破性能などもかなり上がっています。 装甲にしろ、弾の威力にそろ、二次大戦では考えられないほど性能はあがってますよ。 ただその進歩が、見た目に表れないだけです。 第一、二次大戦の頃の戦車は走れば壊れました。 最近の戦車はだいぶマシです。この前も北海道で自走して移動しましたし。
お礼
回答ありがとうございます。参考URLからも次々とリンクして見てしまいました。見た目にはわからない進歩が各所に見られますね。日本の90式はなかなか優秀だそうで。
- kikiki99jp
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走るという駆動能力はさほど進歩していないでしょう。 リッター800メートルしか走りません。 狭くて、夏暑く、冬寒いのは改善されていないようです。 でも殺人殺傷能力は向上しています。
お礼
回答ありがとうございます。まあ、内部にエアコンなどはついていないのでしょうかね。砲の威力は向上しているようですね。
- 6dou_rinne
- ベストアンサー率25% (1361/5264)
外観の変化はあまりありませんが、戦車砲の破壊力と敵の砲火やミサイルからの防御については進歩はしています。ただこれについてはいくらでも大きく重くできませんから限界に近づきつつはあります。 ただ、いちばん進歩しているのは通信やITの利用ではないでしょうか。
お礼
回答ありがとうございます。なるほど確かに車内の通信機器などの装備面に関してははるかに進歩しているでしょうね。
お礼
長文の回答ありがとうございました。中身の充実度は推して知るべしですね。本当に半世紀前の戦車など、現代の戦車の前では物の数ではないということがわかりました。命中率も具体的な数値を上げていただき、進歩が実感できました。m(__)m