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老親の1人暮らしで起こった火災は別居してる子供に過失は問えるか?

素朴な疑問なんですが、70歳以上の老親が本人の希望で1人暮らししてた場合、その親が火事を起こしたら、別居してる子供に過失が認められたケースはあるのでしょうか? 個々によって違うとはいえ、老人が1人暮らししてたら、ボケてなくても何かのミスで火災を起こす事は十分予見出来ると思うのですが。 本人がどんなに「元気だ」「ボケてない」と言っても、注意力は低下してると思うのです。 でも、1人暮らししてる老人は多いですから、こんなことで過失認めてたら、家族や親族はパニックになってしまいますよね。 ちなみに、本人が嫌がったら、強制的に同居させたり、施設に収容することは家族が希望しても無理なんですか?余程の認知症にでもならないと無理なんでしょうか?

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回答No.1

 こんばんは。  一般に知られているように、失火により隣家などを類焼させたことに対して火元が負わなければならない損害賠償は、一般的には「免責」とされます。 その法的根拠は「失火の責任に関する法律」(失火責任法)にあります。ただし、この条文の中に「失火者に重大な過失があるときはこの限りにあらず」との但し書があり、総ての失火が「免責」になるわけではありません。  上記の損害賠償は、法的には「一般的不法行為責任」を規定した民法709条「故意または過失により他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」に基づきます。  「失火」とは、過失による「火災」であり、単なる「火」ではありません。したがって、タバコの火で絨毯に焼け焦げを作った場合などは「失火」には当たらないことになります。  なお、「爆発」は「失火」に含まれず、「失火責任法」は適用されません。漏れたガスが充満した屋内で、電灯などのスィッチを入れた時に出た火花で爆発して火災になり、隣家が類焼したケースなどがそれに当たります。  「重大な過失」とは、判例によれば、「通常、人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然とこれを見過ごしたような殆ど故意に近い著しい注意欠如の状態を指す」とのことです。  「故意」による火災は論外として、条文にある「重大な過失(重過失)」の具体的な中身については、過去の判例により定着してきているのが実情です。「重過失」の判断を巡る裁判例として、以下のようなものがあります。 (1)油鍋による火災 ・天ぷらを揚げている最中に電話が鳴ったため台所を離れ、その間に鍋に火が入って火災になり、隣家が類焼したケース → 「十分予見できた危険を見過ごしたのは、重過失と認められる」 (2)風呂の空焚き ・ガス風呂の水を入れ替え、蓋をして暫く放置。その間、風呂底の栓をキチンと嵌めていなかったため浴槽内の水が流れ出し、ガスに点火した時には水は残っておらず、結果的に空焚き状態になり出火したケース → 「重に近い軽過失と認められる」。点火時に蓋を開けて中を確認しなかったことが、「重に近い」と判断された(賠償責任は辛うじて免れた)。 (3)ストーブの点けっ放しによる引火 ・六畳一間の手狭な居室に酔って帰り、石油ストーブを点けたまま30cm程度しか離れていないベッドでうたた寝、その内に布団がストーブに掛かり出火したケース → 司法の判断は分かれている。新潟の訴訟では「誰もが起こし得るとして軽過失判断」だったが、一方、札幌の同様の事案では「誰もが起こし得るからこそ注意すべきとして重過失判断」となった。 (4)幼児の火遊び ・責任能力のない幼児(12歳以下)の火遊びにより他人の財物等に損害を与えた場合、保護者である親に「無過失責任」が発生し、賠償の責務を負うことになる。但し、日頃から火の怖さについて言い聞かせているとかマッチやライターを子供の手の届く所に放置しないなど、子供を監督する上で親が適切な教育・指導を行っており、その点での「重過失」が認められなければ、賠償責任は免除される。   上記の例では、今回のご質問は(4)に近いと思いますが、責任能力がないとはいえないと思いますから、別居している子供の過失が問われる事はないと思います。  ただし、重過失が認められて賠償する必要が生じれば、貴方の問題にもなるでしょうから、結局は同じような意味合いを持つことにはなるでしょうが。 >ちなみに、本人が嫌がったら、強制的に同居させたり、施設に収容することは家族が希望しても無理なんですか?余程の認知症にでもならないと無理なんでしょうか?  受け入れてくれるところがあれば可能ですよ。別に犯罪になるわけではありませんから。