元塾講師です。クラス分けが可能だったらした方が良いです。
親御さんの中には「高度な授業」=「レベルアップ」と考えている方が
けっこういます。上のクラスにギリギリの成績だと本人はもちろん、
親御さんも「上のクラスでやらせたい」と言い出します。でも、これは
間違いで、10のレベルの生徒に8のことを教えれば7くらいは理解しますが
5の生徒に8のことを教えても5どころか0になってしまうことも
少なくありません。
先生なんだから、その辺は補習すればいいのでは、できないのは
講師の怠慢だと考える方もいらっしゃいますが、授業が終わっても
質問に来る生徒を追い返してまで、やる気のない生徒だけを優遇するわけ
にはいきません。やる気のある子とない子を同じ教育方法ということ自体
無理があります。学校の義務教育が抱える問題をわざわざ塾に持ち込む
必要はないし、塾は民間企業なんだからどんな教育方針だろうが良いのです。
したがって成績貼り出し、ランク分けを徹底しているところもあれば
そんなことをしない塾もあります。どれを選ぶかは本人の自由だし、
その教育方針にはついていけなければ退塾する自由もあります。
私が最初にいた地元の学習塾はランク分けがなく、授業中にレベルが下の子に
丁寧に教えていたら、呼び出され「あいつは無視しろ」という指示がありました。
まあ、それが嫌でそこの塾は辞めたんですが、経営者の中にはそういう考えを
している人がいることは知っておいてください。
以上ができる子を中心に考えた場合です。だれしもできる子を中心に教えたいから
ランク分けがあるんだという考えがありますが、それは表面的なものです。
勉強に対する価値観なぞ子供にとってはそれほど大きくありません。
別に下のクラスにいるからといって、ふてくされる生徒なんてほとんどいないが
実情です。むしろ、雰囲気は下のクラスの方が明るいですね。なんせ、
勉強に対する気負いが少ないから反応が素直。「先生~わかんねーよ!」って
言える雰囲気がそこにあるんですね。上のクラスだと周りを気にするのか
素直に「分らない」とは言えないみたいです。塾講師の売りはなんといっても
授業に関係なく、それでいて人生の為になるようなネタをいくつもっているかです。
はっきり言って、授業範囲が狭い分、下のクラスの方が持ちネタを披露する
余裕があります。だから笑顔は圧倒的に下のクラスが多いんです。
学校の落ちこぼれを人間的な落ちこぼれにしないようにするのが講師の腕です。
大人から見ればランク分けが順位づけのように思うかもしれませんが、
上のクラスは上のクラスの価値観、下のクラスは下のクラスの価値観があり
同じクラスにするよりも生徒が順位を意識しません。同じ土俵にいる方が
気負ってしまって、落ちこぼれ思想を産みます。
上位のものには「なぜ勉強するのか」とさとし、下位のものには
「人生で苦労しないようにこれだけは知っておこう」と解説し、それによって
生徒が差別を受けていると感じさせないのがプロの仕事です。
お礼
ご丁寧に回答していただきありがとうございます。 たいへん参考になりました。