全国の神社ですが、これは神道(しんとう)という日本古来の宗教の拠点です。神道は、天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする八百万の神々が日本列島を作ったという創世神話から始まるもので、素戔嗚尊(すさのおのみこと)、大国主命(おおくにぬしのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)など様々な神が登場します。そして、八百万の神の中には日本の風土に根ざした森羅万象が含まれているのが特徴です。よって、それらの多種多様な神々をまつった社である神社も、様々なご神体を奉ったものが存在します。また、天皇も現人神(あらびとがみ)として神々に列せられてきたという日本古来の事情から、天皇家も神道に深く関わっています(天皇が現人神というのは昭和天皇によって昭和21年正月に否定されました=天皇の人間宣言)。
で、神社の多くは、神社本庁という宗教法人の下でまとまっていますが、いくつかの大きな神社の中にも神社本庁の配下にないものがあり(代表的なところでは靖国神社・明治神宮などは神社本庁に所属していません)、また全国津々浦々にある無人の小さな社などは事実上宗教と言うより土着の民俗文化であると言って良いのではないかと思います。
さて、明王・観音などはそもそもは仏教の仏ですが、日本では土着文化である神道と中国経由で伝来した仏教が融合し、それぞれで神・仏としてあがめられている場合があります。お稲荷さん=不動明王というのは?ですが、代表的なものとしては八幡大菩薩などがありますね。八幡神社は源氏の氏神として日本に広く存在しますが、日本仏教では八幡大菩薩として菩薩の仲間入りを果たしていたりします。
日本には神社の境内に仏教の寺がある…というところもあり、神道は仏教と並ぶ「宗教」であると同時に日本人の伝統意識に深く関わっている「文化」と言っても良いのではないでしょうか。
お礼
なるほど、よく理解できました。文化、なのですね。 たいへん詳しい解説、ありがとうございました!