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国連改革「拒否権を無くす」ことについて。
国連改革などで「拒否権を無くす」ことが議論されていると言うことを聞きました。 そこで、質問があります。 拒否権を無くすことにどのような利点がありますか? また、無くすにはどうすれば良いのでしょうか? それとは別に、拒否権があることでどのような利点があるのでしょうか? 宜しくお願いします。
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拒否権について、様々な観点から批評することが可能ですが、 いかなる場合にせよ、拒否権そのものは国連憲章という条約、特定の法に基づいているものである以上、その出発点として、その法的な観点からの分析を行うことは重要だと思います。 この点、その憲章上の根拠に関して、 既に述べられていますが、それは27条3項の規定に求められます。 ただ、そこで「拒否権」(Veto)という文言が用いられているか否かは、 大した問題ではありません。それをどのように表現したとしても、実際には、周知のように常任理事国が反対すれば、安保理の決定は為されないということには変わりないのですから。 では、このような拒否権が設けられたのは何故か? 言い換えれば、拒否権制度の意義とは何ぞや?ということが問題になると思います。 純粋に、法的な観点からすれば、それは次のように説明されます。 すなわち、国連安保理は、連盟と比べて、実効性の観点から強大な権限を与えられているが、その権限を行使するに当たっては、より一層の慎重さが求められる。そこで、拒否権制度は、安保理の暴走を押さえる上での安全弁として働く、と。 しかしながら、政治的な観点から拒否権が設けられた趣旨を説明するならば、それはソ連を国連という枠組にはめ込むことにあったといえます。 仮に、このような拒否権制度が存在しなかったならば、第二次大戦後、主として西側諸国から成り立っていた国連、およびその制度のなかに、ソ連が参加することはなかったでしょう。 そのような趣旨を考えれば、冷戦期の安保理の機能麻痺というのは、別に想定外の事態ではなく、むしろ想定された事態であったといえます。 これは、通常、大国のエゴとして非難されるところですが、国際関係における秩序維持において、大国が重要な役割を果たしていることを考えれば、 むしろ大国を国連という制度の下に引きとどめる役割を果たしていた拒否権の機能は、評価されても良いといえます。 しかしながら、冷戦の終結によって、そのような意義は失われたといえます。 まず、法的な観点から、安全弁としての拒否権の意義というのは、もはや全く認められません。むしろ、今日的に問題となっているのは、安保理による活動の行き過ぎの議論です。むしろ、この点に関しては、国際司法裁判所もしくは総会による安保理のコントロール機能が注目されています。 また、政治的な観点からしても、ソ連の崩壊によって、上述の意義は失われました。そして、それ以上に、今日では拒否権というのは、安保理の活動にとって、弊害でしかないものになっています。 まず、冷戦後、安保理の活動が活発化していくに伴って、その活動が効果を発揮するためには、安保理自身の正当性が問題となってきました。 この点、安保理は国連加盟国のうち15カ国によって構成されていますが、 この枠組が規定されたのは多くの植民地が独立していなかった40年近く前であって、それ以降も、多くの国が独立してきました。 その結果、現在、国連の加盟国は191カ国に拡大し、安保理の構成そのものの民主性が疑われています。(「たった」15カ国の決定によって、自国の死活的な利益が損なわれうるのですから。) そのような状況において、拒否権制度が存在することは、当然、安保理の正当性に重大な疑問を投げかけることになります。それは、ひいては、安保理の効果的な活動を妨げる要因になります。 したがって、拒否権制度は、もはやその存在意義を失っている以上に、 その存在自体が弊害でしかないといえます。 もっとも、とくにアメリカなどに顕著ですが、常任理事国は既存の権益を失いたくないという観点から、拒否権廃止に反対することになります。 そこで、いかにして、拒否権制度を廃止していくか、ということが問題になります。 結論からすれば、一気に拒否権を廃止することは難しいと思います。 したがって、初めの段階としては、拒否権制度を使いにくくする、という状況を作ることが重要になります。 すなわち、安保理理事国の拡大です。現在、理事国は15カ国ですが、これが拡大されて、例えば30カ国になった時に、29カ国が賛成しているにもかかわらず、1常任理事国が拒否権によって、ある決定を妨げることは相当なプレッシャーになるでしょう。 拒否権制度の廃止、というのは、このような段階を経て可能になるものだと思われます。
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- zenzenzen
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問題は拒否権が発動される背景やその解決方法,各国の対応の仕方が問題なだけだ.
- zenzenzen
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拒否権に意味を持たせるなら 総ての国に拒否権を認めるという方向もありだ.
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- Q891781
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「拒否権を無くす」議論は少数意見ですが、国連内部であるようです。そもそも常任理事国の“拒否権”という文言は国連憲章にありません。27条の3項に「すべての事項に関する安全保障理事会の決定は、常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票によって行われる」とあるだけです。これが拒否権と命名されるようになりだしたのは、1946年シリアとレバノン紛争問題に旧ソ連が安全保障理事会で反対したことから始まります。旧ソ連は1948年のベルリン封鎖、1950年の韓国攻撃にも反対しています。1963年イギリスが南ローデシア(現ジンバブエ)情勢に対して安全保障委員会で反対した頃にはすでに“拒否権”という名称は定着していたようです。 この拒否権が無くなればどうなるか。「国家の平等」が誕生すると思います。「個人の平等」は聞こえがいいですが、これはあくまでも機会均等という意味の平等です。頑張って勉強したり働いたりしている人と、怠けてばかりで働きもしない人の実質的な権利は社会において全く違います。それと同じく「国家の平等」は聞こえはいいですが、僕は非常におかしな現象を生み出すと思います。 国連運営のために多額の負担金を支払い、国際貢献を積極的に実践し、世界の安全のために紛争解決目的で国民の命を犠牲にしている国と、国際法を平気で破り、世界の治安を乱している国の「発言権」がもし同じだとしたら、ただ単に数の論理だけを是としたら、世界の安全保障はボロボロになってしまうと思います。なぜなら、ほとんどの議題は皆の都合で決定されてしまい、自己中心的な国連になってしまうからです。 現在も常任理事国の好き勝手ではないかとおっしゃるかもしれませんが、一応P5(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)は先の大戦の戦勝国であり、世界の治安を自国民の血を流して守ったということになっているから致し方ないのです。したがって、拒否権を無くしても精神的な充足感はあるかもしれませんが、実質的な利点はないと思います。 無くすのは簡単です。上述しました27条を改正すれば事足ります。拒否権があることでの利点は上述しました通り、安全保障の議題があがった際に「世界を救ったP5」による決断が、たった五カ国ですからまとまりやすいのです。といいましても、拒否権はのべ257回(2006.6現在)行使されていますが、1996年以降は13回だけ。しかもその8割はアメリカによるものです。 最近ではイラク攻撃(2003年)の際にフランスのシラク大統領が駆け引きの材料として拒否権をアメリカにちらつかせていましたが、このように拒否権は行使するものではなく、交渉材料として使用されるケースが顕著なようです。持っているだけで効果があるとは、まるで核兵器みたいなものですね。ということは国家にとって相当な伝家の宝刀になると思います。
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- shararasha
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拒否権を無くすことの利点について 常任理事国(米・英・仏・ロ・中)、G4(日本・イン ド・ ブラジル・ドイツ)の二つの視点から考えます。 G4にとって、拒否権が無いことの利点は、常任理事 国の了解を得易いということです。常任理事国にとっ て拒否権は既得権益でありこれ以上拒否権を持つ国が 増えることを自国の影響力の低下に響くと考え、G4が 拒否権を持つことに反対するので、G4としては拒否権 を持ちたいのはやまやまだけれども、常任理事国にな れればそれでもいいと考えています。ただ、インドは 強固に拒否権の付与を求めている点では他のG4と多少 立場は違います。 拒否権を持つことによって、自国の国益とぶつかる 案件については常に決議をやめさせることができるた め外交カードとして非常に重要です。その案件で拒否 権を使わないから、他の分野で利益をよこせという交 渉が可能になります。但し、自国の身勝手に拒否権を 使えば国際社会の批判にさらされることになるので、 拒否権を持っているからといって自国に不利なら何で も拒否権ではありません。拒否権を持っていることで 自国の不利な事項をもう少し改善させたりできるとい うのが通常の考え方です。
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なるほど、解りました。 ありがとうございました。 感謝します。
- zenzenzen
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力でもなく数でもなく 話し合いによって 物事を解決しようとすれば 本来拒否権など無意味なものだと私は思う. しかも本来,力の強いものが拒否権を持つとは何事であろうか. もし拒否権が有効であるとすれば 大多数が間違った方向を歩むとき 独りの英知がある法則に則って それは違うのではないかと主張したとき 聞き入れなければならないという国際的な憲法があれば世の中はもっとよくなっていくような気がする. 和を尊ばなくてはならない. 我利を捨て去りどうすれば問題が解決していくかを検討しなければならない. という思考のくびき. この二つを実践できれば この世に興ったどんな宗教をも超えて世界を平和にするだろう.
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- ipa222
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補足です。 新たに増やす常任理事国に、拒否権を与えないことによって、どんなメリットがあるか? それは、新しく常任理事国になるであろう日本やドイツの隣国の常任理事国、中国やフランス。インドやブラジルの隣国パキスタンやアルゼンチンが反対していますから、妥協策ということだと思います。
- ipa222
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安全保障理事会には、拒否権を持つ常任理事国と、非常任理事国があります。 WWIIの戦勝国である常任理事国の持つ拒否権は、いわば国連軍を左右する権限を持つ絶対的な権力です。 このたび増やす常任理事国に拒否権を与えないという可能性が高くなっています。 これは従来の絶対的権力を持つ常任理事国より下のBクラスの常任理事国をつくるということです。 これは、非常任理事国の長期固定というものに近い待遇だと思います。
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- sapporo30
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日本が常任理事国に入った場合に、 拒否権なしで という意味ですか? それとも、5大国の拒否権をなくすという意味ですか? 国連安保理の問題として 拒否権があるために、意思決定がされない。 遅れるという問題があります。 5大国のうちひとつでも、いや といえば 何も決めれないからです。 拒否権がなくなれば、多数決になるので 多数の意見で物事がきまるようになります。 拒否権をなくすというのであれば そういう案を加盟刻2/3 以上の賛成で決議し 5大国が賛成したときですので、 ありえないです。 日本が常任理事国に入る場合も、 手続き的には同じです。 そういう案を加盟刻2/3 以上の賛成で決議し 5大国が賛成したときです。
お礼
ありがとうございました。 感謝します。
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詳しい回答ありがとうございます。 感謝します。