こんにちは。きのうやっと本を手にいれて、いませっせと読んでいるところです。ご質問の「時子の家を訪ねてきた男」ですが、そこは読み終わりましたから、そこだけさきにお答えします。
東京の刑事です。土地に不案内な弓坂刑事に力を貸すつもりで、さぐりを入れに訪れたのでしょう。名乗らなかったのは、弓坂刑事が追っている事件ですから、出すぎないという気配り、つまり刑事の仁義ですね。
ついでに、もうひとつ。
犬飼が八重に大金をわたすところは疑問に思いませんでした。
犬飼は犯罪者から名士になりあがるほどの男です。人並みはずれた器量とやさしさ、人間的魅力を多分に持ちあわせていることでしょう。そうした犬飼の人間像を刻むのに核となるできごとだと思います。それに、殺人をしたことの贖罪意識もあるでしょうし。罪深いお金が、不幸な女の窮地を救うなら、それは浄財にもなりうるとの考えが無意識にも働いた、という理解のしかたはおかしいでしょうか。その行為は、犬飼本人にも救いだったはずです。殺人という衝撃的な行為のあとの動揺が、思いもよらぬ行為に走らせてしまった、という理解のしかたもありえますね。
もうひとつ。これは新しい疑問点ですが、網走刑務所看守部長が田島刑事をたずねてくる件。これには首をかしげてしまいます。捜査に関する情報なら、捜査本部に足をむけるのが筋でしょう。捜査本部を指揮する立場ならともかく、田島刑事は一捜査員にすぎません。なぜ田島刑事なのでしょう。親戚関係か、面識があったとすれば不可解でもなかったのですが。作者もそれが気になったとみえ、そのあと、札幌署の警部に「どうして、札幌にきていて、そんなことをこっちへはなしてくれなかったんかね」と電話で看守部長へ苦情を言わせていますが、欠陥をカバーしきれてません。
以上、とりあえず、です。
お礼
100%納得できるわけではありませんが、お答え頂き有難うございました。 新たな疑問点については、私なりに思う事もありますが、うまく伝わる自信が無いので控えておきます。 かなり犬飼寄りのお考えのようですね。