刑法上は、名誉毀損罪と侮辱罪との2罪の可能性がありますが、両罪はその人の持つ外部的評価を保護法益とする点で同じですので(判例)、いずれかのみが成立するという関係です(法条競合)。
簡単に判例での区別基準を示すと、行為・表現が具体的詳細な事実を示してその人の評価を低下させるおそれのある状態を作出した(名誉毀損)か、そうではなくいまだ抽象的な事実を示して外部的評価を低下させるおそれのある状態を作出したのか(侮辱)です。
今回の場合、単に「アホ○○」「アホ社長」「バカ社長」と書いているのであれば、抽象的な表現にとまるので侮辱罪です。
刑事では、親告罪で被害者の方の処罰を求める意思表示があって初めて検察は起訴出来ますし、警察での捜査も強制捜査(逮捕勾留捜索差押え)は告訴がないとまずしません。刑罰は、拘留または科料のみです。とても軽い。
民事上、慰謝料請求は出来ますが、謝罪文の掲載を紙面にするよう求められるかというと、困難です。民法723条では、「他人の名誉を毀損したる者に対しては裁判所は被害者の請求に因り損害賠償に代へ又は損害賠償と共に名誉を回復するに適当なる処分を命することを得」
と規定しています。これは名誉毀損の場合の、名誉回復措置についての規定です。では、侮辱の表現をした者に対して、この規定を類推して、同様の措置をとるよう指図できるかというと、判例がありません。ないのですが、類推可能性はあるので、裁判で争って侮辱でも、謝罪文掲載について何らか措置を取るよう裁判所は命ずるべきだと、主張してみるのも良いかもしれません。
しかし、そんなことは時間がかかるので、あまり勧めません。
特定人を侮辱した地方紙のすべての回収を求める仮処分申請をして、さらに本案の慰謝料請求で裁判上、損害賠償を求めることにしてはどうでしょうか。
お礼
お返事が遅くなりました。 とても参考になりました。 友人と相談します。 ありがとうございました。