欲望について
質問の仕方を変えます。
アリストテレスは情念(感情・パトス)について、「二コマコス倫理学」で
欲望・怒り・恐れ・自信・ねたみ・よろこび・愛・憎しみ・憧れ・羨望・憐れみ など
と11以上あるとしました。
中世に入りアウグスティヌスは基本感情を4つあげ
欲望・恐れ・喜び・悲しみ としました。
近世に入りデカルトは「情念論」の中で基本感情を6つあげ
驚き・愛・憎しみ・欲望・喜び・悲しみ としました。
そしてスピノザは「エチカ」の中で、基本感情を3つまでしぼり
欲望・喜び・悲しみ としました。
ここまでで、わかるようにアリストテレスから1000年間、欲望という感情が必ず含まれています。
哲学者により欲望の定義は違うかもしれませんが、ここでは、快に向かう苦から離れようとする傾向と定義します。
しかし、現代の心理学的見地では、アメリカの心理学者ポール・エクマンは人間の表情から感情を
怒り・嫌悪・恐れ・幸福感・悲しみ・驚き に分類しました。
確かに欲望の表情というと、食欲や性欲など身体の生理作用に基づく表情があるかもしれませんが、金銭欲・名誉欲の表情は?などと問われれば、回答に詰まります。
ネットで調べた限り現代の心理学では、欲望とは言わず、「動機づけ」と呼んで研究されているようです。
http://ksw.shoin.ac.jp/machida/need/need2what.html
欲望とは感情と言えるでしょうか?または、過去の哲学において忘れ去られた、感情なのでしょうか?