古代イスラエルの歴史についてはややっこしいので割愛します。
イエスさんが生まれた頃、イスラエルはローマ帝国の属領となっていました。一応ユダヤ人の王様がいたんですけど、その王様はローマに臣従していたのです。
ローマ帝国の支配っていうのはかなり緩やかで、帝国に臣従している限り属州の土着の信仰については一切口出しをしなかったんですね。ユダヤ人が一神教を熱心に信じていたのもまあ別にローマに歯向かわないならどうぞという感じでした。
しかしプライドが高いユダヤ人は、自分たちが異教徒の支配下になっていることがどうにも腹の立つ状態でした。なのでローマ排斥を狙う熱心党という一派があって、ローマに対するテロを行っていました。今のハマスみたいなもんです。イエスの弟子の中にも熱心党のシモンという人がいます。イエスの弟子にはシモンさんが何人もいるのでややこしいのですけれど。
イエスはユダヤ人の間で「イエスが我々を指導して独立運動を起こし、ローマに戦いを挑んでユダヤ人独立を果たしてくれるのではないか」と期待されました。それでエルサレムで一大イエスブームを起こしたのです。けれど、イエスは「独立運動のリーダー」になることを拒否しました。「俺が訴えているのはユダヤ独立じゃなくて、愛なんだよ」とね。
これはユダヤ独立とローマ排斥を願うユダヤ人の人々にとっては裏切りに近い失望する出来事でした。イエスに対する失望は、そのまま怒りに変わってイエスは十字架にかけられることとなりました。
イエスが処刑されてから50年くらい経ったときに、とうとうユダヤ人はローマ帝国の支配に耐えられなくなり大規模な反乱を起こします。「ユダヤ戦争」と呼ばれるものです。この戦争は断続的に70年に渡って続くのですが、最終的に反乱は鎮圧されました。
自分たちの信仰に固執するユダヤ人に心底怒ったローマ皇帝は、イスラエルからユダヤ人を追放します。それでユダヤ人はヨーロッパから中東にかけての地域に広く分散することとなりました。
普通、そうなった民族は移住した先で同化していくんですね。けれどユダヤ人は彼らの信仰を頑なに捨てようとしませんでした。その執着心がどこからくるのか、多神教生まれの私には理解できません。
キリスト教もイスラム教も、元々はユダヤ教から生まれたようなもんですから(ましてやイエスはユダヤ人です)彼らは当初はユダヤ人を抱き込もうとしました。
けれどユダヤ人は「お前らのいうイエスとかムハンマドとかな、預言者だっていうけど、俺らはそうだとは認めねえから。勝手に預言者を名乗るんじゃねえ」とイエスの存在もムハンマドの存在も決して認めようとしなかったので、そこは憎まれるようになったのです。
お礼