「医科」と「歯科」が分化したのは、100年以上前です。当時は、「歯科」は生命に関わりがなく、患者が痛いといってきたら、抜いてしまい、歯がなくなって噛めなくなったら、代わりの物を入れてやればいいという考えでした。だから、医者になるほど広く、人体全般について勉強する必要はないが、手先が器用でないと勤まらないという考えがあったと思います。その後、学問の発達、患者の受診目的の変化などで、医学の中でも、形成外科の一部、精神科などには、そこまで広く勉強しなくても、もっと簡易に資格を与えてもいいではないかという意見もありますが、いったん、制度として成立していれば、そのような運動は医学界としてみれば、既得権益の侵害になりますし、形成外科で歯科の一部を任すことは歯学界の既得権益の侵害になります。日本医師会、日本歯科医師会という強力な圧力団体がありますので、双方ともに既得権益の侵害を承諾するようなことはしないでしょう。また、健康保険の件ですが、現在ではこの金額の配分には、医師会、歯科医師会ともに、ゼロサム社会にあって、自己の配分を多くすることには、関心が高いのは当然です。ですから、形成外科に歯科の一部を含ませることなど、両者の境界を変動させることなので、利害の衝突が起き、新たな問題が生ずるのは自明の理です。政治家は、両者の分離は制度として定着していますので、一般国民の切実な要求がないのに、「再検討」など、あえて火中の栗を拾うことなどしません。
お礼
なるほど。つまり昔の分類をいまだに引きずっていると言うわけですね。 良くわかりました。ありがとうございました。