大塚家具は、結婚や家の新築などで家具を一新する、アッパーミドル以上の世帯層を対象に、専門の販売員がつきっきりになって顧客の希望通りの家具を用意するという高級路線の会社でした。
しかし皆さん指摘するように、イケアやニトリのようないうてみれば激安家具みたいなのが台頭してきて売上もジリ貧状態となっていました。
大塚家具の現状に危機感を持っていた久美子氏は、大塚家具もイケアやニトリのような廉価な商品に力を注ぐべきであると思いましたが、ワンマン社長であった父親の勝久氏はそれを頑として受け入れませんでした。
しかし株主の多くは勝久氏のやり方に「時代遅れ感」を感じており、久美子氏は株主の後ろ盾もうけて勝久氏の追い落としに成功します。このときは「老害vsジャンヌダルク」みたいな図式で久美子氏を応援する人たちも多くありました。これがお家騒動の発端。
しかしお家騒動のイメージダウンもあり、大塚家具は業績が急降下。しかも久美子路線の廉価家具は従来の顧客からは「大塚家具ともあろう者がこんな安物を取り扱うようになって」とそっぽを向かれ、廉価家具を求める層からは「大塚家具は高級店だから私らには縁がない。ニトリで買えるし」と足を運んでもらえない。
そうこうするうちに父親の勝久氏は「匠大塚」を立ち上げ、そこに従来の社員も多く移りました。つまり旧来の大塚家具のノウハウと顧客リストは匠大塚に流出してしまったといえます。結果、大塚家具にはとりあえず久美子社長のイエスマンになり会社にしがみつくしか能がない人たちしか残らなくなりました。
おまけに久美子社長は銀行出身で金融面には強くても、結局のところ父親と違って頭を下げてモノを売り歩いた経験がないなら商才はなく。経営方針は絵に描いたような右往左往をするうちに、かつて久美子社長を支持した株主たちはみな株も売り払い大塚家具は手元のキャッシュを急速に失うことになりました。
大塚家具救済の手はなくはなかったのですが、どこの会社も救済の条件として出したのが「久美子社長が退任すること」でした。そりゃそうだ。この人に経営者としての才能がないんだから、退任してもらうのは当たり前。しかしそこに久美子氏は頑として首を縦に振らない。社長就任以来打つ手打つ手がことごとく失敗し、たんまりあったキャッシュが急速に減っているのを目の当たりにしてるんだから普通の人であればストレスで心が折れたって不思議じゃない(私だったらとっくに折れています)のに、なぜか久美子社長は退任しません。もう「私が死ぬなら、全員道連れにしてやるわ!」状態にしか思えないんですけどね。
大塚家具のお家騒動の最大の謎は「なぜ別ブランドを立ち上げなかったのか」です。ファーストリテイリングはユニクロより更に廉価のファストファッションを出すにあたって、GUという別ブランドを作りました。トヨタの高級車ブランドはレクサスです。
そんな感じで廉価家具を扱う子会社を作ってそこの社長を久美子氏にし、別ブランドを立ち上げて大塚家具の一部店舗をそのブランドに改修してやればよかったとしか思えないのですが、なぜか勝久氏も久美子氏もそれは考えもしなかったようです。「自分が絶対正しいと自己を神格化している(自分の間違いを頑として認めない)」という点では非常に似ている親子なのだろうなあと思います。テレビで見る限りは、久美子氏ってそんなに頑固なキャラには思えないんですけどね。
お礼
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