僕の小話を聞かせてあげましょう。
僕は郵便屋さんでした。
その仕事中での出来事です。
少し奥まったところにある家の郵便差し入れ口に封書とハガキを入れて、バイクの置いてある道路に向かうときに、その家の住人に声を掛けられた。
年齢は50代半ばのようだけど仕事をしているようには見えない。僕が見かけるのはいつも同じような背広を着てスーパーのビニール袋を下げて歩いている姿だ。
その日も、いつもの背広を着ていた。
「郵便屋さん、お金が貯まるっていう財布を買ったことある」
急な質問で、こちらの返事もえ~とかいや~とかあいまいなものになります。
「いや~、買ったことないですね」と答えるのが精一杯です。
その人は、僕の返事もそこそこに一人語りのように話始めます。
「宝くじが当たるって書いているから買ったんだけど、全然当たらないんだよね」
「それで、その会社の電話をしたら、女性が出てきて、上のものを出しますかというから、俺はいいと言ったんだけど、その女性が言うには、当たるスピードには個人差がありますと言われたんだ」
そう言いながら、なにか腑に落ちないような顔を僕に見せます。
僕は「ああ、そうですか。個人差ですか・・・」と相槌を打ちながらその場をなんとか切り抜けたのです。
僕も少しおかしなものを内に秘めているのか、こういうたぐいの人が寄ってきます。
でも、会話が成立しませんね。
お礼
どうもありがとうございます。お礼が遅れましてお詫びします。