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プリムラマラコイデス種の自己形成と交配について
- プリムラマラコイデスは、自己形成によって種ができることもありますが、交配による種作りも必要な場合があります。
- 温暖な地域での栽培には注意が必要であり、気温の上昇によってプリムラにとって厳しい環境となります。
- 過去の経験からは、何もせずに種ができることもあることがわかっています。
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種子を確実に得たいのなら人工授精させないとなりません。こぼれ種子での発芽は偶発的(昆虫が多く飛来する環境だったり、発芽条件が偶然そろった)に出てきてくれるものですから、ただ待っているだけで都合よく生えてくれる物でもありません。そもそも住い周囲の環境が影響するものですし(自然環境が豊富な立地か)、もしプリムラマラコイデスの花を好んで来る種類の昆虫が少ない所なら受粉頻度も低くて種が出来ず、発芽するにも環境や条件が揃わないのなら出て来ないのが普通です。日本で育つ植物の場合種が採れる機会は年に一度なのがほとんどなのでその一度で確実に受精させないと種子は実りません。自然任せの受粉によるこぼれ種子での発芽は自然がその家を偶然選んでくれてプレゼントしてくれた「オマケ」の要素が強く、期待はできません。 プリムラでもポリアンサやジュリアン(近年は両種同士の交配も盛んで区別は難しいです)に自然任せでは種子が出来にくいのは、これらが人が性質を作り替えた「園芸種」だからですよ。この種類は自然界には存在しない「人の作った種類」で(簡単に言えば雑種です)、複数のプリムラ原種を人が「自然界ではあり得ない(自生国が違ったり好む環境が違ったり)」組み合わせで掛け合わせて作ったものなので(異種交配)、こういう由来のある観賞花は受粉も人への依存度が大きいです。例えば同じような由来で作ったリンゴなどは自然環境下では実が大きく美味しいものはできず、人が剪定し蕾を選別し人工授粉させ摘果しないと満足な育ちが出来ません。「人の都合や好み重視」で作り替えられた「不自然な植物」なので、もし昆虫が受粉しても受精がうまくできず種子が出来づらい、なかには雌蕊や雄蕊が交配による弊害で機能不全で受精能力を失って、栄養増殖でしか増やせない物も珍しくありません。人が品種改良し続けている園芸種や野菜や果樹では本来の遺伝子を狂わされている物も多く、「自然受粉が出来ない」「全くの不稔」「実生で殖やすと親と性質が違うのが出来る」と言うものは結構多いです。 それに比べるとマラコイデスの園芸種は他のプリムラの種類との交配はほとんどされておらず、品種改良も個体選別由来の物や遺伝子を少し操作した程度で、比較的生殖能力が落ちていないのでしょう。マラコイデスの場合は性質的に(暖かい地域向きの種類・花茎が伸びるので昆虫に見つかりやすい)受粉が行われやすいのでしょうね。 ウンナンサクラソウの方は元々原種で山野草(自然の姿を手元に置いて楽しむ)のジャンルなので園芸化は進まず、昔から日本にあり実生での増殖を繰り返してきたので「馴化」しており耐寒性や耐暑性も変化して日本各地で育ちやすくなったものと思います。こういう由来のは基本的な性質は変わっていないので実生で良く殖えます。 ただ、マラコイデスの種子が採れるからといっても苗が無事育てられるかは別の話です。こぼれ種子で発芽しても夏場が越せず枯れる事もあり得るからです。 プリムラ類は種子の販売もありますが(北海道ではポリアンサやジュリアンの種子が店で普通に売られています)種子での販売があまり知られていないのは本州だと夏越しが難しく、プロの生産者でなければ夏越し対策も充分にできないから(植物によっては夏場は高原に移動させるとか)でしょうね。質問者様はおそらく本州にお住まいなのでしょうが、開花株での夏越しが難しいのならまだ幼くて性質の弱い苗だと余計夏越しが難しくなります。近年は私の住む北海道でも夏は高温になる日が多く、シベリア原産と言われるルバーブ(食用大黄)の育苗が出来ません。20年前なら種子を蒔いて芽が出れば苗が楽に育ったのですが、近年は夏になると暑さで苗が「溶けて」しまいます。涼しい環境を好む植物が北海道でさえこうなのです・・・。 私の住むところではマラコイデスは育てられませんが、ポリアンサやジュリアンだと個体により「性質が強いものなら」冬も夏も越せるものがあります。でも近年の交配による花色が鮮やかだったり花弁の見た目が華やかなものほど性質が弱くて生き残れません。昔からあるような紫色のや黄色の花の見た目のシンプルなのが丈夫でずっと生き残ってくれます。 私はプリムラの原種が好きでいろいろな種類を集めています。偶然ポリアンサとジュリアンの交配に使われた原種も揃っていますが、これら原種だとこちらではとても性質が強くほぼ放置で年々株が大きくなり花をたくさん咲かせています。元々これらの原種は環境さえ合えば強健なものです。 でも人為的に作られたポリアンサやジュリアンは人の都合の良い面だけ重視で交配を繰り返されたことにより、見えない部分の性質が弱まるっていることが多いようですね。 去年、ポリアンサとジュリアンの交配で共通している原種の植えてある場所に、見慣れない花をつけた若い株を見つけました。どうも交雑して実った実のこぼれ種子で育った個体の様です。花茎が存在し少しオレンジかかったクリーム色で傍に生える交配親と思われる種類よりも花一輪が大きいです。これはいわば「ポリアンサやジュリアンになりかけている」ものといえるのでは。この交雑個体にさらにジュリアエと言う原種が交配出来ればポリアンサやジュリアンに「近いもの」が作れる可能性を持つと思います。 我が家はすぐそばに広い土地を持つ神社があるので昆虫がとても多く蜂やハナアブがたくさん花に訪れます。プリムラ以外の植物でも複数の原種や品種を持っているので交雑個体がいつのまにか生え、花を咲かせてからその存在に気が付く事も多いです。元農家だった敷地で土地も広く立地的に他所に逃げ出す心配もないので大抵の交雑個体は残してみて何年か様子を観察します。中には地元の野生種と外国種が異種交配してしまったり、たまに異属交配までしてしまうものまであって驚かされます。 プリムラと同じ環境を好むので一緒に植えているクリスマスローズならこぼれ種子でいくらでも増えてくれるのですが、プリムラだとこぼれ種子で殖えやすいという印象はありません。一応実が膨らみ種子が出来て落ちているらしいのですが(花茎で実が割れて残っている)、苗が育って花が咲くほど育ったのは上記の交雑個体一株だけで、毎年春の開花前に雑草を取っていますが生えてきた芽や新たな若い株はほぼ確認できません。きっと種子を採取して自分で苗床に撒いて育苗すれば苗もある程度の数は育つのだと思われますが、私は園芸種の方への興味は薄く山野草か改良の進んでいないものが好みで、特にスミレ類の交配や育種と選抜の方に手を取られるので(我が家で異種や異品種同士での交配物がいくつかあり、現在それらの三代目にあたる個体の育苗で管理が手一杯)プリムラの交配の方には手を出していません・・・。 プリムラの交配の場合、雌蕊の先の高さが高いものと低いものがあり、その違いで交配しやすさが変わるそうです。人工交配をする場合は開花間近な蕾の花弁を全て取り除き、更に雌蕊(受粉させる花)の長いものを選んで成熟したタイミングで受精しやすい時間帯を狙い(それまでは虫に受粉されない様に人工授粉するまでは花を目の細かい網などで覆っておく)、葯が開いて充分花粉の出ている雄蕊を擦りつける(雄蕊もあらかじめ採取して集めておく。場合によっては冷蔵保存)と受精の確率があがるとか。 でもそうやって受精が成功し種子が得られたとしても、上記に書いたように苗が無事に生き残ってくれるかは夏場の暑さ対策次第の様で・・・。近年は温暖化で夏の気温の上昇が目立ちこぼれ種子で生えた苗であっても生き残れる可能性は低くなりそうなので、こぼれ種子から生えた物でも放置せずそっと堀上げてビニールポットに移植して育苗したり、採取しておいた種子を蒔き時にセルトレイ(プラグトレイ)なそに蒔いて(種類によっては発芽まで長期間かかるものも)発芽すればそのまま初期育苗し、本葉が何枚か生えそろえば大きさに合った号数のビニールポットに植え替えて育苗。夏場は暑さが避けられるような木陰や建物の陰などに移動させてあげる方が生き残りやすいと感じます・・・。
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- trapezium
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マラコイデスは耐寒性の比較的強い系統と、弱い系統とありますが、強い系統は特に自然実生しやすいです。そのまま放置してもいくらかは残りますが、確実にするには発芽したものを適当にポット上げしておき、秋まで育苗して定植するようにしています。 弱い系統も実生はしますが、自宅は関東ですが冬は -10度以下まで下がるのでそのままでは越冬できません。 温暖な地域ではおそらく秋蒔きの方が育苗も簡単だと思います。苗は小振りになると予想されますが、春蒔きのような夏越しの面倒がありません。微細な種ですので、種蒔き用土など粒子の細かな土を用い、好光性種子ですので覆土はしません。発芽までは充分な水分が必要ですから底面吸水させると楽です。春蒔きの場合はポリポットでの育苗に、山野草向けのような水捌けの良い用土を使うといいでしょう。 それに比べるとポリアンサ、ダブルプリムローズ、ブルガリス、アコーリス、ベリス、ジュリエなどは種はできにくいですが、ぽつぽつ交雑個体らしきものは生えています。ただし園芸種では不稔、またはそれに近い状態の品種もあると思います。 それと何年も桜草の交配していますが、長柱花同士、短柱花同士でも問題ないようです。(自然環境での受粉しやすさには影響するかもですが)
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ありがとうございます。
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