- ベストアンサー
プロペラ機でジェット機と同等のもの開発されてますか
記憶が薄くなっているのですが、私が子供の頃、ジャンボジェット機と同等の大きさで、同じ速さかそれよりも早く飛ぶことが出来るプロペラ機を研究開発していると言うのを見たことがあります。 そのプロペラの形ですが、今の普通のプロペラ機と形が異なっていたのを記憶しています。 あれから、数十年が経ち、プロペラ機でジェット機と同等のもの開発されてますか?
- みんなの回答 (6)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ターボファン(バイパスジェット)のファンとファンナセルの代わりに、後退角を付けたプロペラを設けた「プロップファン」(または「アンダクテッドファン」)という形式の推進装置が研究されていた事がありました。 推進装置の推進効率は、噴流の速度が飛行速度になるべく近い方がエネルギー効率が良くなるのですが、飛行速度と噴流の速度の差が小さいという事は、前方からエンジン内に入って来る空気を殆ど加速せずに後方へ送り出すという事ですから、同じ量の空気を噴出させた場合、飛行速度と噴流の速度の差が小さいほど推力が小さくなってしまいます。 そのため、推力を下げずに推進効率の向上を図るためには、空気をあまり加速させないようにしたまま推力を得るために、出来るだけ大量の空気を取り入れて、その取り入れた空気を飛行速度に比してあまり速度を速くしない様にして後方に送る様にしなければなりません。 ファンの無いターボジェットエンジンは前方から取り入れた空気を圧縮器を使って高圧にし、その圧縮空気の全量を燃焼器内で燃料を燃やすのに使用して、得られた高温高圧の燃焼ガスを膨張させる事のみによって推力を得ているため、噴流の速度が飛行速度と比べて非常に速くなってしまい、効率が良くありません。 そこでターボファンエンジンでは、燃焼ガスのエネルギーの一部を利用してガスタービンを駆動させ、そのガスタービンの駆動力によって径の大きなファンを回す事で大量の空気を比較的低速で後方に送り出す事で、推力を低下させずに推進効率を高くしています。 この燃焼器を通る空気の量で、ファンなどを通って「燃焼器を通過せずに後方に送り出される空気」の量を割った比の事を「バイパス比」と言います。 亜音速で飛行する際にはジェット噴流よりもずっと低い速度で飛行しているため、一般的にはバイパス比が高いものほど推進効率が良くなります。 プロップファンはターボファンよりも更に径を大きくする事が容易なプロペラを使って空気を後方に送り出す事で、ターボファンよりも高いバイパス比を得て、それによって燃費を向上する事を意図した推進装置です。 只、普通のプロペラではジェット機が飛ぶ様なマッハ0.8前後の速度では、プロペラの外周部の回転速度が音速を超えてしまい、プロペラの翼の先端部に衝撃波が発生して空気抵抗の増大と気流の剥がれを招いて空気を後方に加速する事が困難になるため、普通の形状のプロペラではジェット機並みの速度で飛行する事は出来ません。 そこでプロップファンでは、プロペラ翼の形状を直線上に伸びた形状にするのではなく、翼端近くを「回転方向に対して後ろ側の方向」にカーブさせた「後退角を付けたプロペラ翼」を用いる事で、衝撃波の発生による問題を回避しています。 超音速ジェット機の中には主翼の前縁に後退角を設けた機体が少なくありませんが、そのプロペラ版です。 こうして作られたのがプロップファンです。 プロップファンは1980年代に世界各地の航空機用エンジンメーカーで開発研究が行われ、推進装置としては実働するものが完成して、実際に燃費が向上している事が確認されたのですが、残念ながらジェットエンジンと比べて騒音がとても許容出来ない程酷い事が判明しました。 その後、ジェット燃料の価格の上昇が当初の見積もりと比べて低くなった事で燃費の向上を優先させる必要性が少なくなった事もあり、騒音問題を解決する事が困難だったプロップファンの開発は下火となり、商品として量産された例はAn-70のD-27エンジンの例の様な極少数のものに留まりました。 【参考URL】 プロップファン - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3 D-27 (エンジン) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/D-27_(%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3) An-70 (航空機) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/An-70_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
その他の回答 (5)
- taoyuany
- ベストアンサー率74% (629/844)
時代的に1950~1960年代におけるターボプロップ機の事でしょうかね。 まず、原理的にプロペラ駆動というのは音速(1000km/h)の壁を超えることが出来ません。 これは2つの原因があります。 一つ目は推進に関わる問題でおおまかに言えばプロペラ駆動は空気を引っ掻いて進むため、前方に空気が無いと引っ掻いて引っ掻いてしても進めなくなるのです。 音速に近い速度になると引っ掻く空気が薄くなってきます。 それを改良したのがターボプロップ駆動方式で、ジェット駆動を併用し熱で空気を再度加圧してもう一度空気を引っ掻きます。プロペラ部とエンジン内の二箇所のプロペラと少しのジェット圧で前方に空気が薄くなってくる速度でもさらに速度を出すことが出来るようになりました。 しかし、それでも音速の壁は越えられません。 具体的にはプロペラ駆動の最大速度は850km/h、ターボプロップ駆動で950km/h程度です。 ちなみに純粋なジェットを利用するターボジェットエンジン機の最高速度は3500km/h程度です。 二つ目の原因はハネの強度にあります。 ターボプロップエンジン内部には無数のハネがあり速度に寄与しています。これは薄く強い素材でできていますが音速を超えた瞬間に発生する衝撃(ソニックブーム)に耐えられるものではありません。音速の壁を超えるには強く頑丈な(重い)素材にする必要がありますが、そうすると飛行効率が落ちます。 こちらの問題は今後解決できる可能性はありますが現在飛んでいる航空機の全ては音速の壁を越えられる設計ではなく無理矢理に越えさせると機関部が破損する可能性があります。 ターボプロップ方式は1940年頃からドイツで開発され、1956年にロシアの爆撃機Tu-95に採用されています。その当時相対するアメリカの主力爆撃機でジェットエンジンを採用したB-52よりも当時の速度は早かったため、1950~1960年代においてジェットエンジンよりも早いプロペラ機というものはその当時確かに存在しました。 #Tu-95は世界一速いプロペラ機と呼ばれています。 別の質問で質問者様は「老齢の域に」と書かれていたのでTu-95の時代の話ではないかと想像致します。 それからジェットエンジンの方は音速の限界を超えてどんどん速度が伸び、ターボプロップ方式はよりジェットを取り入れた方向に進化しターボファンエンジンとなって燃費の良さに注目され多くの旅客機に採用されていますが音速の壁は越えられていません。 逆に純粋なジェットエンジンを採用した超音速旅客機はコンコルドを最後に全て退役しています。 以上質問者様の参考になれば幸いです。
プロップファン機ですね。 後退したナマズの髭のような複雑な形のプロペラを採用してます。 ご指摘通りこのファンの目的はターボプロップ機でジェットファン機並の速度を効率よく出す事です。 問題はあの複雑な形状を作るのが難しいのと何より騒音が大きいという致命的な欠点がありました。 今はこの手の研究も採用する機体もないと思います。 結局ダクトがない剥き出しのファンは騒音を押さえられなかったってことなんでしょうね。 燃費など得る物よる騒音など失う物の方が大きかったという事です。
- chie65536(@chie65535)
- ベストアンサー率44% (8742/19841)
>あれから、数十年が経ち、プロペラ機でジェット機と同等のもの開発されてますか? 航空力学(空力)で「プロペラのハネが音速を超えると、音速を超えている空気中は密度が極端に薄くなり、動力が推進力になる効率が極端に落ちる」と言うのが証明されてしまっています。音速を超えた時の衝撃波に耐える機体や、音速に負けないパワーのあるエンジンを使っても「プロペラのハネの回転の殆どが推進力にならない」ので、プロペラ機では音速を超えての継続的な飛行は出来ません。 音速を超えての継続的な飛行が可能な超音速ジェット機では「エンジン内の空気の流れが音速を超えないように設計されている」ので、機体そのものが音速を超えても、推進力が低下しません。
- mpascal
- ベストアンサー率21% (1136/5195)
私もそのようなものを見た覚えがあります。その資料は出てきませんが、エアバスのA400Mがその時の技術を引き継いでいるのではないでしようか。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%B9_A400M 速度はことらが早いですね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/Tu-95_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
- Macpapa10
- ベストアンサー率9% (127/1288)
それから何十年か経ってると思いますけど、飛んでないのでは?