法務省の統計に拠れば、日本における在留外国人のうち、中国人は65万人(平成24年末時点)です。国際交流基金に拠れば、中国で日本語を学習している人数は約100万人です。
また、中国に進出した日系企業は、直接間接合わせて約1千万人の雇用を中国で生み出していると言われています。1千万人のうち、全員が日本語を話せる、或いは話す必要のある職場に居る訳ではないでしょう。そうすると、中国で日本語を話せる人は、訪日予備軍や日本からの帰国者等を合わせて、多く見積もっても、せいぜい計1千万人ではないでしょうか。13億の人口から見れば、0.77%で、1パーセントに満たない数字です。
一方、中国語検定協会に拠れば、日本で中国語を学習している人数は約200万人です。自分もそうですが、今は学習していないがしゃべれる人も100万人程度はいるでしょう。今学習している人で、話せるところまで行き着けるのが200万人の四分の一として50万人、合計150万人ほどは中国語を話せる日本人がいると思います。日本の1億2千万人の人口から見れば、1.25%です。
出張で中国に行くと、通訳以外で日本語を話せる人にはほとんどお目にかかれず、その通訳もおらずに、当方が往復で通訳を務めることがしばしばでした。中国には、余り日本語を話せる人はいないな、というのが長年中国貿易に携わってきた者の実感です。
だから、人口比で言うと、「中国人は日本語を話せる人が多いのに、日本人は中国語を話せない人が多い」ということはなく、実態はその逆だと思います。
中国の人は根が商売人ですから、小売店や飲食店等で流ちょうな日本語を話す従業員等を見かけるケースが多いので、日本語を話せる人が多いという印象があるのかもしれませんが、中国に進出した日系企業の工場の現場では、日本人技術者が耳で覚えた中国語を駆使して、丁々発止やっています。貿易関係の駐在員も、基本的に会話はほとんど中国語で仕事をしています。日本人駐在員同士で日本語で会話するのが唯一の息抜きという環境だったりします。
日本は海外の情報がすぐ日本語に翻訳されてほぼリアルタイムで入手できるという、欧米を除けば世界的にも珍しい恵まれた言語環境にあるので、日本に居る限りは、中国語に限らず、外国語を話さねばにっちもさっちもいかないところに追い込まれることはまずありません。
だから、日本人は日本でぬくぬくと過ごしている限りは、中国語を話せない人が多いのは当然ですし、中国語を話せる日本人も必要に迫られない限り話そうとはしないものなので、日本人は中国語を話せない人が多いという印象ができてしまうのでしょう。
もし、ご質問の意図が、日本人が中国語を学習しても話せるようになる前に挫折してしまうケースが多いのはなぜか?ということでしたら、答えは簡単です。中国語の発音の基礎をおろそかにして、すぐ会話ごっこに走るからです。地味でつらい発音の基礎を徹底的にたたき込むことで、話せるようになる比率は飛躍的に上がるはずです。
お礼
統計で見たら、むしろ日本人のほうが中国語を話せる人が多いのかというご意見ですね。