お尋ねの点について確たる情報は持ち合わせておりませんが、常識と道理で回答したいと思います。
1.官邸の思惑はいかに?
安倍官邸には、キャンプ・シュワブへの普天間の基地機能移転、辺野古沖埋め立て以外の選択肢はありません。また、外務省、防衛省をはじめとする所管官庁にも他の選択肢を検討する余地がありません。しかし、ややこしいようですがアメリカは特にこだわっていないようです。これは、もっぱら日本国内政治の問題なのです。
安倍官邸が代替案なり、他の選択肢を考慮できないのは、a)一度決めたことは変えられない行政の惰性にはまっているから。b)中央行政しか知らない世襲政治家の行政観は権威主義的だから。c)事大主義が「保守派」の本性だから。d)昨今の「保守派」の常として沖縄を蔑視しているから。e)沖縄に在日米軍を押しつけている現状が都合いいから。f)アメリカが怖くて言えないから。g)国内世論の反対が大きくないから。h)辺野古埋め立てが巨大な利権の温床だから。i)バカだから。等々の要因が考えられます。
というわけで、安倍官邸は辺野古埋め立てを撤回しないでしょう。とりあえず、いまは安保法制で政権に対する風当たりも厳しいから嵐が過ぎるのを待っているだけで、要するにただの時間稼ぎだと思います。いずれ沖縄県側が折れるしかないとたかをくくっているのではないでしょうか。
2.沖縄県側は話し合いによって決着がつくと考えているのか?
翁長知事の腹の内はわかりませんが、彼の主張は正論であり、県民世論の大半から支持を得ているのですから、簡単に引き下がるわけには行きません。いっぽうで政府が「話し合い」によって譲歩するとの甘い考えもないでしょう。
沖縄県と言っても一枚岩ではありません。那覇市がある南部と名護市がある北部、名護市庁のある東シナ海側と辺野古の太平洋側、沖縄経済の支柱であった土木業と現在の一大産業である観光業、かねてからの保守と革新の対立など、さまざまな利害得失、思想的立場の相違があります。
しかしながら、民主党への政権交代によって県民世論が大いに刺激されたこと、辺野古移設派への資金の流れが絶ち切られたこと、沖縄への蔑視を露わにする本土の「保守派」に対する反感とから、現在の沖縄県内は県内移設反対でほぼ一致しています。従来力をもっていた「基地マフィア」もいまや見る影もありません。
とにかく現状では沖縄県側は訴えつづける以外にありませんが、はたして解決への道筋が描けているのかは疑問です。本土の国内世論がもっと反対で盛り上げれば話は別ですが、そうと期待しているわけでもないでしょう。
3.決着をつけるために許可取り消しが筋ではないのか?
そのとおりです。そもそも普天間の移設先を沖縄県内に求めたことがまちがいであり、辺野古沖埋め立てを許可したことがまちがいです。
これまたよく誤解されていることですが、アメリカは辺野古での空港建設にこだわっているわけではありません。さしあたって普天間の移設先をキャンプ・シュワブとしたのはそれが簡単だったからにすぎず、日本側がコストを負担してくれるなら日本本土でも、グアムでも構わないのです。むしろ軍事戦略的にはそのほうが望ましいと言われています。
辺野古埋め立てという事業は、目的を議論によって定めて合理的に解決策を練ることができないという、日本政治の病弊が現われた典型的な事例だと思います。
もしも辺野古埋め立てが撤回される日が来るなら、それは日本の政治がそれだけ「まっとう」になった日だと思います。
お礼
どうもありがとうございました。