「マイルドハイブリッド」とは言っていますが、実際には軽自動車にも搭載されている「Sエネチャージ」(エス・エネチャージ、スーパーエネチャージ)の事です。(←軽自動車用と比べてモーター出力は上がっています)
※トヨタ・クラウン(S17#系)のマイルドハイブリッドや、日産・セレナのS‐ハイブリッドと同じようなシステムだと思います。(他社が普通の鉛バッテリーをエンジンルーム内に2つ搭載するのに対して、スズキ車のSエネチャージの場合はエンジンルーム内に鉛バッテリーが1つと車内の助手席下にシステム用の専用リチウムイオンバッテリーが搭載されているという違いがあります)
トヨタ車やホンダ車などの本格的なハイブリッドシステムは(主にエンジンとトランスミッションの間に)ハイブリッドシステム専用の駆動&発電用のモーター(正確には「モータージェネレーター」)を持っていますが、上記のスズキのシステムはエンジン本体に取り付けられていてベルトで駆動されているオルタネーター(≒発電機)を加速時などに(逆に電力を供給して)モーターとして使用する事によってエンジン出力をアシストしています。
※トヨタ車やホンダ車のハイブリッド用モーターが、数十~百数十[kW]および数百[N・m]程度の出力があるのに対して、スズキ・ソリオの場合は2.3[kW](3.1[PS])および50[N・m](5.1[kg・m])の出力しかありません。(ただし、モーターの最大トルク値に限って見ればエンジン本体の最大トルク値(118[N・m]/4400[rpm])の約42%程度の数値があります。単純に合計すると168[N・m]となり1.6~1.8Lクラスのガソリンエンジン並みの数値となりますが、ベルトのプーリー比(←クランク軸プーリーよりもオルタネータープーリーの方が小径)がありますのでベルトの駆動抵抗やスリップロスを差し引いてもクランク軸では更に増大された数値になるのではないかと思います)
※他車の本格的なハイブリッドシステムでは可能なエンジン休止状態でモーター動力のみで走行する事はできません。
またスズキ車のこのシステムの場合、一回の加速時に使用できるモーターアシストはバッテリー残量やモーター本体温度の過熱が無いなどの条件が最も良い状態でも、最大で連続30秒までとなっています。(←追い越しや上り坂などで加速の途中であっても、最大で30秒を経過するとモーターアシストが停止します)
※蛇足ながら、「S」の付かない普通の「エネチャージ」の場合は加速時などにオルタネーターを働きを休止してエンジン負荷を減らし減速時などに集中してバッテリーへの充電を行う「充電制御」のシステムと、エンジン再始動時やエンジン休止中の車内電装品などへの電力供給用の専用リチウムイオンバッテリーを搭載していますが、加速時のモーターアシストは行いません。
ちなみに、他社のハイブリッド車でも同一車種内での非ハイブリッド車と比べて車両本体価格が30万円程度高額になり、ある程度の走行距離を走らないと燃費性能で購入金額の差を取り戻す事ができません。ソリオの場合非ハイブリッド車の「G」とそのひとつ上のグレード「ハイブリッドMX」は20万円+α程度の価格差になりますが、車外&車内装備品などにも結構な差(※)がありますので、マイルドハイブリッドシステムの有無による実質の差額は10万円も無いのではないかと思います。
※フロント&サイド&リア&ルーフのエアロパーツ、アルミホイール、サイドエアバッグ、オートエアコン、前席背面テーブル&シートバックポケット、後席アームレスト、後席ドアサンシェード、6スピーカー、など。
スズキ・ソリオの場合、2WD車同士での燃費性能の差は非ハイブリッドグレードの「G」に対して+4km/Lですので、ガソリン1L=125円としてカタログ燃費で計算すると1万km走行時点での燃料代の差額は7,557円と僅かですから、購入時の価格差(約20万円)を燃料代で取り返すのはなかなか難しいと思いますので、実際の購入検討比較時には(他社のハイブリッド車やクリーンディーゼルエンジン搭載車でも同様ですが)標準装備品や加速時の余裕などの燃費性能以外の違いも考慮する必要があります。
※実燃費をカタログ燃費の3割落ち(70%)と仮定して計算すると、1万km走行時点での燃料代の差額は10,796円になります。