Q/日本が、F22という高性能軍事飛行機を購入すると聞きました。
A/その情報は既に古いですね。既に回答がありますが、米国から今後海外への販売の予定は、今のところありません。航空自衛隊が所有するF-4EJ改の後継としてF-Xの選定計画があがったのは、2007年までであり、F-4EJ改(PhantomII/ファントム2)の次世代機選定が終わったのは、2012年の話です。ここでは、F-35A(Lightning II/ライトニング2)で決定しています。
当初はF-22 Raptorも視野に検討していましたが、これを越える戦闘機は、今のところ世界で、存在せずF-117(退役)やB-2(退役)などと同様の高度機密情報を持っているため、米国議会により禁輸の法律が施行され、日本への輸出は事実上不可能となりました。そして、米議会の禁輸措置は、今年更新予定のはずですが、今からF-4EJ改の変わりとして導入するのは難しいでしょう。禁輸が解除されれば、他の後継として検討する可能性はありますが、たぶん今の状況ではないと考えられます。
尚、この機体とドッグファイトをすると事実上、目視できるエリアに入る前に撃墜されます。レーダーに表示されることもないでしょう。
そのため、セールスポイントは、制空権を制圧し、むしろ支配できるというのがこの機体の持つ意味です。
F-22の機体には、最先端の航空制御システム(アビオニクス)を搭載しています。機体には熱を吸収する素材、電波を反射せず、吸収拡散する素材を採用しており、アフターバーナー(ジェットエンジンを過熱させて高い推進力を得る技術)を用いなくとも、超音速での巡航が可能な設計(スーパークルーズ)を持ち、さらにキャノピー(コックピット)から出る熱なども、外からは識別しにくいような処理がされているとされます。これらの技術の一部を除くほとんどは、最重要機密となっています。
Q/どのような事態にF22は有用なのでしょうか
A/基本的に、操縦者の操縦にミスがなければ、レーダーに探知されない。敵が火気管制システムを利用して、誘導レーザーロック(自動ミサイル追尾のロックオン)をしようとしても、できません。レーザー誘導のレーザーを吸収し跳ね返さないため、センサーで距離と場所を特定できない上に、そこに物があることを識別できないのです。
もし、これを何とかするには、立体視差を利用した目視センサーと、目標の形から判別する必要がありますので、将来的には可能でも、今の段階では難しいのです。
この意味は、兵器としての力も抑止力として素晴らしいのですが、日本においては、別の意味で最も大きな価値があるのです。それは、兵士(自衛官)が万が一紛争が起きて、ドッグファイトになり得る状況が発生しても、死なない可能性が高いということです。
ちなみに、第四世代のF-X(G4FX)でF4EJ改の後継に選定されたF-35AはJoint Strike Fighter(統合打撃戦闘機/JSF)と呼ばれる最新のステルス機です。この機体は格好は良いのですけど、機体バリエーションがF-35B(AV-8B+の後継として開発中で垂直離着陸対応、AV-8Bはハリアー攻撃機)、
F-35C(F/A-18と同じ空母に積み込めるタイプの機体)と標準型Aの3種類があり、推進力やステルス性能にいくつか課題があるという欠点があります。
しかも、中国に大半の開発情報が漏れていたという記事が先日(今年の1月19日に)出たのも玉に瑕。
Q/現在の機首と比較して、どれほど優れているのでしょうか。
A/現在の第四世代の機体は、まずステルス性能がありません。また、アビオニクスはできる限り最新のものに更新していますが、そもそもF-4EJのベースである米軍のF4は1958年に開発された機体であり、それの改良型(F-4E)を日本仕様に変更した物です。1970年代に配備され、その後、国内でのライセンス生産により機体数を増やし、また機能を少しずつ改良して今に至ります。この機体は、操縦が難しい事で有名ですが、世界で今でもかなりの数が運用されているベストセラー機です。
ちなみに、日本ではもう一つF-15J(Eagle/イーグル)も採用されています。
これは、1970代後半に採用が決まり、1980年前半に配備が始まりました。F-4EJの4倍ほどの機体が今も運用されています。
最近は老朽化問題が深刻で、機体に亀裂が入ったり、墜落したりというニュースが日本でも海外でも言われますが・・・。これとF-22を仮想的に見立てた、訓練では、1機から2機のF22で一つの空軍編隊(40数機~)をF-22は無傷で撃墜できるほどの戦火を上げたというのは、よくある話です。
以上のようになります。
これで分かると思いますが、米国の軍需産業は凄いと言うことです。日本が、一機の選定に悩むレベルですが、米国は、空軍や海軍の戦闘機だけでもF/A-18、F-35A(実戦配備前_配備前実証訓練試験中)、F-22、F-16(米国では今残っているF-16がF-35Aに置き換わる予定)、F-15などがあります。
このほかに、A型機体(攻撃機、Attacker)やB型機体(爆撃機、Bomber)などもあります。(Fは戦闘機、Fighter)
その中で日本は、限られた予算の中で新しい機体を選んでいるわけです。そこに、F22が入った(ことがある)のです。今後出てくるかどうかは、これからの米議会次第ですが、中国を刺激することになるので、よほどの事がない限りは禁輸を米国は続けるはずですよ。
尚、選定対象は米国メーカーの機体とは限りません。最近はユーロ圏のBEAやロシアのスホーイなども入っています。ただ、同盟国の関係や、操縦訓練の関係と機体特性や国内での生産なども関係するため、たいていはのダグラス(現ボーイング)やロッキードの機体になります。
スペック通りの性能が出るなら、性能も米国はやはり、市民が銃を持つ権利を保有する国だけあり、秀逸なのは確かです。
お礼
みなさん、返答有り難うございます よく分かりました 今後もおねがいします