できるとすれば、契約を解除して代金の返還を請求することだと思います。以下順に説明します。
1 契約の内容について
まず、あなたは本件中古車の個性(走行距離、使用年数、保存状態等)に着目して売買契約を締結したものと思われます。このような売買を民法では特定物売買などと言います(民法400条)。
特定物売買では、売主はそのままの状態で買主に引き渡せば良いことになります(民法483条)
ところが、そのままの状態で買主に引き渡すと、たとえば本件車のように隠れた欠陥がある場合、買主が不足の損害を被る場合があります。そこでこのような場合の買主を救済するための規定として民法570条が準用する566条の規定があります。
2 570条・566条に基づく請求
同条は、(1)契約の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合に、損害を被れば損害賠償請求、(2)契約の目的を達成することができなければ契約の解除ができる旨定めます。順に検討してみます。
(1) 隠れた瑕疵の有無
ア. 「隠れた」とは、取引通念上通常要求される程度の注意を持ってしても発見できないという意味です。他方「瑕疵」とは通常有すべき品質、性状を欠くこととされます。
これを前提に「基本的な走ることが出来ていない」状態(以下「本件不具合」といいます)が上記瑕疵にあたるかを検討することになりますが、例えば、インターネット取引であり、買主が商品の状態を直接確認することが困難である、商品の説明ではあたかも走行するのに不都合はないかのように説明してある、最低落札価格に照らしても、走行に支障を来すような不具合があることを推認できない、といった事情があれば、「隠れた瑕疵」といえると思います。
イ. 内容証明を書く場合は、インターネットを通じての取引で、不具合の確認が困難であること、商品の最低落札価格、状態に係る説明等、具体的な事実を上手く利用して、本件不具合が「隠れた瑕疵」にあたることを説明してください。
(2) 契約の解除について
ア. 上記のとおり、本件不具合が「隠れた瑕疵」といえる場合、契約の目的を達成できなければ契約を解除できることになります。そこで、本件不具合があるために「契約の目的」を達成できないか検討することになりますが、修理に多額の費用を要する場合には、契約の目的を達成できない場合にあたる旨判示した裁判例があります。そうすると「修理に最低20万円かかる」が、多額の費用にあたるか問題になります。この点、同修理費用が多額かどうかも本件中古車の最低落札価格と比較して検討することになるかと思われます。一例ですが、最低落札価格がかなり安めに設定されている場合などは、修理に最低20万円かかったとしてももともとの値段が安いわけですから多額とはいえないと判断されることもあると思いま
す。
イ. 内容証明を書くときには、最低落札価格等と修理費を比較する、修理費用がサラリーマンの平均月収に相当する額であり直ちに捻出困難である、といった事情を上手く使い、修理に多額な費用がかかる→契約の目的(すなわち乗車)を達成できない、という流れをいかに説得的に展開できるかがポイントになります。
(3) 損害賠償について
損害賠償ですが、修理費用については請求はできないとするのが過去の裁判例の大勢です。というのも570条・566条は売主に対して修補する義務を負わせていないことと、先に摘示した483条が現状のままで引き渡すことを原則としているためです。
損害賠償としては、特に契約を解除する場合の無駄になった保険料の支払い、車検費用等に限られると思われます。
3 543条について
なお、他の回答者が543条の適用の可能性を指摘していますが、同条は履行の全部または一部が不能になった場合の規定です。本件売買の履行の内容は、すでに述べた通り現状での引き渡し(483条)であり、その履行自体は不能ではありませんので、同条の適用はないと思われます。
お礼
内容証明郵便送ってみます。ありがとうございます。