- ベストアンサー
吸音材のタイプによる効果の違いは?
吸音材について質問です。 よく録音スタジオに貼られているようなSONEXなどのデコボコしたウレタン?でできた吸音材と、MGボードやGCボードのような圧縮ロックウールやグラスウールのボードでは、どちらのほうが吸音効果があるのですか? また、吸音の性質の違い(部屋内で聴こえる音質の違い)などはあるのですか? ※ちなみに、防音目的ではありません。部屋の中の反響音を無くす目的です。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
>> 録音スタジオにはSONEXの凸凹が多くて、リハーサルスタジオのようなところにはMGボードのような壁が多いので // おそらく、コストパフォーマンスの問題だと思います。 圧縮グラスウールは安価で、難燃性で、直線的な加工が簡単なので、壁一面に貼り付けるような工法に適しています。リハーサルスタジオは(悪く言えば)バンド向けのカラオケボックスなので、ギリギリ小さなサイズで作るときは特に「とりあえず音圧を抑えてくれれば良い」という傾向にならざるを得ない面が大きいでしょう。 レコーディングスタジオの場合、アコースティック楽器の場合は部屋の反響を積極的に音作りに使えたり、マイキングの工夫で反響を目立たなくしたりできるので、「吸音命」というほどではないと思います(リハスタでも広いところは床が板張りだったりしますね)。 一方、ボーカルブースなどは無響室に近い発想で作られていることが多いように見えます。この場合、ボーカル帯域はそれほど広くなく、音圧も(アンプやドラムセットに比べれば)低いので、表面積を稼ぎやすい楔形の吸音材が主流になるのでしょう。
その他の回答 (1)
- Yorkminster
- ベストアンサー率65% (1926/2935)
あまり詳しくはありませんが、「諸条件による」としか言えません。あらゆる条件において、他のあらゆる吸音材より優れた吸音材というものは存在しないということです。従って、吸音を必要とする周波数帯域、減衰させたい量、設置可能なサイズ、建物の他の部分の構造、予算などに応じて個別に決めていく必要があります。 吸音材は、材質や構造、サイズによって、吸音しやすい周波数帯域や減衰率が異なります。単純に言えば、「低音には全く効果がないが高音はよく減衰させる吸音材」や、「中音域のある部分だけに効果のある吸音材」あるいは「全体に満遍なく減衰させるが、減衰率は低い吸音材」といったものが様々ある訳です。 通常の吸音材は、多孔質によって音響エネルギーを熱エネルギーに変換して減衰させる構造です。このため、波長に対してかけ離れたサイズの吸音材は、あまり吸音効果を発揮しません。これも単純に言えば、波長が短い高音は比較的簡単に処理できるのに対して、波長が長い低音には効果を発揮しにくいということです。スポンジ状(グラスウール等でも同じ)の吸音材で低音を減衰させるためには、数10cmの厚みが必要です。 http://www.kobayasi-riken.or.jp/esta_0/anecho_0.htm (内装吸音材が60cm厚のグラスウールの例) また、このような無響室を作るのであれば、低音はもちろん、高音も完全に吸音しきって構いませんが、スタジオ等ではそこまで極端なことはしていません。一度でも入ったことがあれば分かりますが、無響室は気分が悪くなるほど静か過ぎるからです。従って、ある程度の響きを残すためには、低音は吸音しつつ、中高音は適度に反響させるような設計が必要になります。これは素人には難しく、一般的な建設会社でも対応できません。 結局のところ、有名どころを(可能であればサンプルを取り寄せて)いくつか試してみて、適当なところで妥協するしかありません。 圧縮グラスウール等は形がしっかりしている反面、末端のカットや化粧が必要なので、そこそこ大掛かりな工事になるでしょう。スポンジの類いはカッターナイフで簡単に切れ、ピンや両面テープで仮設置しやすいので、宅録レベルならこちらで妥協した方が良い気はします。
お礼
とても詳しい解説をありがとうございます。 つまり、部屋の反響を多少調整するような用途なら、結局は予算に合わせて適当に試せばOK、ということですね。 録音スタジオにはSONEXの凸凹が多くて、リハーサルスタジオのようなところにはMGボードのような壁が多いので、用途によって向き不向きがあるのだと思っていました。 SONEXに比べてMG/GCボードはとても安いので、こちらを少し買ってみて壁に貼ってみようと思います。
お礼
再度の回答、ありがとうございます。 MG/GCボードは価格面からしても、広い面積に「とにかく吸音」というコンセプトの施工に、またSONEXのような凸凹模様の吸音材は、ボーカルブースのような、録音時のデリケートな音づくりの際に向いているのですね。 両者の違いがなんとなくわかってきました。 「響かなくする」のと「音を吸う」のは、その目的も、それに使われる吸音材も変わってくるのですね。 いろいろと教えていただき、ありがとうございました。