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アコギの音質の表現「箱鳴り感」とは何を指すのか?
- アコギの音質の表現として「箱鳴り感」という言葉がありますが、これは音のどんな成分のことを指す言葉なのでしょうか?
- 「箱鳴り感」という表現は、アコギの音がボディ内で共振し、響きが広がる印象を指しています。具体的な成分については明確な定義はありませんが、周波数や減衰の仕方などが影響している可能性があります。
- エレキギター用のアコースティック・シミュレータには「箱鳴り」という機能がありますが、これは箱鳴り感を再現するためのエフェクトであり、アコギから出る音に何らかな成分を足していると推測されます。ただし、真の箱鳴りの定義についてはアコギのファンの間でも議論があります。
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アコースティックギターのことはあまり良く分かりませんが、ヴァイオリンなどの弦楽器は皆同じようなことなのではないかと思います。 ストラディヴァリウスなどの「銘器」と呼ばれる楽器は、とてつもなく良い音がします。弦が振動し、共鳴胴の中の空気が振動し、さらに楽器が振動し、そしてホールの中の空気が振動し、というように、振動が振動を呼んでどんどん響きが広がる、という感じです。 特定の周波数ではなく、広範囲の周波数でそのようになります。逆に、特定の周波数だけでそうなるのは、「鳴りが偏っている」といわれ、くせのある楽器とみなされます。 よい楽器は「遠鳴りがする」といわれます。つまり、ホールのずっと遠いところまで音が届く、ということです。逆に「傍(そば)鳴りがする」といわれる楽器は、演奏者の手元では良く鳴っていますが、ホールの遠くには音が届かない、ということで、「よくない楽器」とされます。 ストラディヴァリウスの音に秘密は何か、ということは科学的にも証明されていないようなので、いろいろな要素が関係しているのでしょうね。 ホールの音響などもそういう要素があるようで、設計がよければ音の良いホールが作れる、ということではないようです。「試行錯誤」の要素や、一度完成してからいろいろと改良・チューニングしていく必要があるようです。時間の経過でホールの音の傾向が変わって行く、ということもあるようです。 楽器も、同じようなものなのでしょう。 ただし、そういった「良い鳴りがする」現象は、日本の梅雨時のような湿った状態では起こりにくいようです。ヨーロッパで良い音の楽器も、日本に持って来るとぱっとしない、ということも多いようです。
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- LB05
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>アコギの音質の表現として「箱鳴り感」という言葉がありますが、これは音のどんな成分のことを指す言葉なのでしょうか? ちょっと振動工学面での話をしますが・・・・回答を先に言うと、箱鳴りとはトーン(音色)と音圧に関係した言葉です。 ※音を構成する要素としては、 音量;単位はdb(デシベル) 工学的には音のスペクトルの積分値ということになるのですが、簡単にいうと『音のパワー』のこと。 音高;単位はHz(ヘルツ) 音高は、音程を決める基音と音色を決める上音との合成音で、これがいわゆる『音程とトーン』を決めています。 音圧;単位はPa(パスカル) 音の伝達を空気の圧力としてとらえた値で、最小可聴音=20μPaを基準音圧としてゲイン(増加分)をdb換算すると、音圧レベル=音量になります。 ・・・があり、『箱鳴り』とはこのうちの音圧の大小に関係する言葉です。(決して『音量』のことだけを言っているワケではない、っというところがポイントです。) ※音圧とは、工学的な現象としては空気圧力の大きさということになりますが、低音ほど振動波形が深くなるので、音圧が大きい音とは一般的に低域が明確に聞こえるトーンとなります。 ここで注意が必要なのは、『音圧の高いトーン=低音がよく出ている音』であって、『高音域がカットされている結果として、低音が強調されている音』(つまりトーンが絞られていてモコモコした音)ではない、という点です。 ※さてアコースティック楽器では。 ギターに限らずアコースティック楽器全般を見て判る通り、弦の振動を胴の内部の空洞に響かせることにより音を大きくする構造になっています。 音が大きくなるのは、主に胴内部の空気の共振現象によるものです。 が、空気の容量(胴体の容積)、胴の形状違いから来る内部の反射波の違い、ハコの剛性などにより共振し易い周波数とし難い周波数が出来てしまい、それが複雑な合成音=各楽器それぞれの音量の大小や特徴的なトーンを生み出します。 つまり、ギターの材質や形状、更には内部の構造によって聞こえる音量や音色に違いが出る、というワケです。 で、「箱鳴り感」(胴鳴りとも言います)とは?ですが。 上述した様に、複数の要素が絡み合って大きく聞こえる周波数とあまり聞こえない周波数に差がある以上、ギターでは音圧だけを測定して「箱鳴り感」を評価する事は困難で、トーンの違いとも密接に関係しています。 実際の評価は専らフィーリング評価によって行われますが、一般的には『迫力のある音』『押しの強い音』『よく響く音』などと評される音が、『鳴りが良い』とされています。 ※ただ、アコースティックギターに於いてはこの話も注意が必要で、例えば、スチール弦を張るアコースティックギターで古くからよいとされているギターの一つ『鈴の音ギター』のトーンの特徴は音圧とは別のところにあって、音圧よりもトーンを構成する周波数帯の複雑さや高周波数帯の聞こえ方に関係しています。 要するに、「箱鳴り感」がアコースティックギターの全てではない、っということです。
お礼
ベストアンサーを決めてる間に、新たな回答をいただいておりました・・・ 申し訳ありません!でもとても詳細な解説をいただき、ありがとうございました! 振動工学というものには初めて触れますが、とてもわかりやすかったです。 特に音の構成要素に関しては、エレキの音作りでも大事な考え方のような気がします。 しかし、正体がわかればわかるほど、箱鳴り感という言葉が遠い存在に思えてきてなりません(笑) フィーリング評価と書いてるとおり、実際に良い楽器に沢山触れることが「箱鳴り感」の真相に近づく道なのかもしれませんね…
難しいですね。 アコギというのは大雑把に弦の振動だけでは音量が得られないためあのような形状になっています。 弦の振動の音だけだと、単純にはソリッドボディのエレキギターをアンプに繋がない状態の生音が近いと思いますが、その音とアコギの音質や音量の差が箱鳴りの部分です。 箱鳴りというのは弦の振動に対する胴の共鳴ですが、胴も共鳴しやすい固有の振動数(固有周期)を持っているので、その固有周期が弦の振動数に近いと共鳴も大きくなり「箱鳴りする」という言い方をします。 固有周期は当然は胴の大きさや材質により異なるので特定の周波数に限定できませんが、胴をたたいた時に出る音が主たる共鳴しやすい周波数といえると思います。 ただ音そのものは弦の振動が元になりますから、アコギの音から元々の弦の振動を差引いた増幅分をシュミレートすれば理論上はエレキでもアコギに近い音が出るはずです。エレキもアコギも弦の振動そのものは変りませんから。
お礼
丁寧な解説、どうもありがとうございました! すると、アコースティック・シミュレーターなどは、その「胴の固有周期」にあたる帯域をブーストしたりしてるのかもしれませんね。 逆にいえば、アンプを丸ごと再現できないのと同じで、それがシミュレーターの限界だということなんだと思います。 「ヴィンテージ感」みたいに、雰囲気だけで言ってるんじゃないかなんて疑念を持ってたところでしたが、とても理解しやすかったです。
お礼
ご回答、ありがとうございます! >「良い鳴りがする」現象は、日本の梅雨時のような湿った状態では起こりにくいようです。 これがすごくヒントになりました。 今まで箱鳴り感を"音質"というように捉えてしまってましたが、響き方なんだと考えるとすごくしっくりきます。 箱鳴りする楽器というのは、そうすると偏りなく広範囲の周波数で共鳴が起きているということなのですね。逆に"ハイが弱い"なんて表現をする楽器は、高帯域の共鳴が弱い楽器ということなのかもしれません。
補足
お二人とも、ご回答ありがとうございました。 今回すごく悩みましたが…「鳴り=響き」という、僕が気づいていないところを指摘してくださったAno.1さんをベストアンサーにさせていただきます。 ただ、ANo.2さんの解説も、「音」をわかりやすく分解して解説してくださっており、とても勉強になりました。 「弦の音を引けば理論上は」という表現、逆にアコースティック音の奥深さを思い知らされる名表現だと感じました。 お二人に、改めて感謝したいと思います。本当に、ありがとうございました!