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武術用の日本刀について。
剣道・居合道を習練なさっている方で、特に試斬(いわゆる試し斬り)を習練している方にお伺いします。武用刀として最も信頼出来て、正に<折れず、曲がらず、よく斬れる>日本刀は何ですか?又、逆にとても武術には使えない日本刀も、古い刀から現代刀まで刀工名で教えて下さい。
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- aokisika
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まず予備知識として「試斬」というのは、「大枚1千両も払って、名刀を手に入れたけれども、本当に払った金額に見合うだけ良く斬れるかどうか試しに斬って見よう」であるとか、「金がなくて銀一分の刀しか買えなかったけれど、いざと言うときにどのくらい斬れるのか試してみよう」などというのが試し斬りです。ですから、試し斬り用の刀というものがあるとすれば、「買ったばかりでどのくらい斬れるのかまだ試していない刀」です。巻きわらを斬ったり青竹を斬ったりしているのは「据え物斬り」というのが正しい呼び名です。とは言え、据え物斬りを試し斬りと間違って呼ぶ人が多いのは事実で、私としては困ったものだと思っています。 さて、武術用の日本刀についてですが、いわゆる「折れず曲がらずよく斬れる」刀がどの刀工の作なのかを明言できる人はおそらくいません。ずいぶん昔ですが、中村泰三郎という人が終戦直後に実験をしたことがあったそうです。 彼は日本軍の武術の指導者として満州へ行き、そこで終戦となりました。武術の指導者ですから日本刀を何本も持っていったのだそうです。ところが日本は戦争に負けました。満州から日本へ帰る船は連合国が管理をしています。ですから、日本刀を持ち込むことはできず、すべて没収され叩き折られて鉄くずにされてしまいます。そこで、中村氏は「どうせ折られて鉄くずになるのなら」と日本刀がどのくらい丈夫なのかを実験してみたのだそうです。 金床に切りつけてみたり、棒で刀を叩き折ってみたり、金床に峰打ちをしてみたり、と所持していた十数本を折ってみて、どの刀がどのくらい折れにくいのかを実験してみたのだそうです。 結果は、有名な刀工の作でも簡単に折れたり、無銘の物でもなかなか折れなかったり、同じ作者の刀でもすぐ折れるものと折れにくいものがあったりしたそうです。 切れ味については、研ぎ方によって変わります。かみそりのように刃が薄くなるように研ぐとよく切れますが折れたり刃こぼれをしやすくなります。逆に刃を厚く研ぐと、切れ味は落ちる代わりに折れにくくなります。戦国時代以前は甲冑を着て戦う時代でしたからかみそり刃に研ぐと刃こぼれしやすいので、刃を厚くする「ハマグリ刃」と呼ばれる研ぎ方が行われました。江戸時代になると平時には甲冑を着てませんから刃が薄くてよく斬れるかみそり刃の研ぎ方が主流になりました。 ですから、よく切れるかどうかは、刀工ではなく研ぎ方に依存します。 折れず曲がらずは、作刀の技術に明るい、明人(わたしの造語です)が丹精をこめて作ったものがよい刀ですが、明人は名人(有名な人)であるとは限りません。また明人であっても生活のために数打ちと呼ばれる粗製乱造品をたくさん作って日銭稼ぎをしたりしていますから、同じ銘が斬ってあっても同じ品質とは限りません。 ですから、誰の作が良いか、というのはわかりません。
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