『薬飲まないで食べれなかったらどうしよう』って不安を無くすことが出来なければ、問題は食欲のことだけでなく、色々な事柄に及びますね。
森田療法やロゴセラピーの「逆説志向」が有効な治療方法ですし、自己暗示などでも可能です。
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『実はこの逆説志向を生み出したのはヴィクトール・フランクルというオーストリア精神科医です。フランクルは第二次世界大戦中、ユダヤ人であるために、ナチスによって家族とともに強制収容所に送られました。
収容所体験を通してフランクルは「どれだけ悲惨な状況でも自分の生きる意味を知っていたら悩むことはない。そして自分の生きる意味を持つかどうかは本人次第」という考えに至ります。
そして「不安に悩むのは、自分の生きる意味を見失い、不安から逃れようと努力するからだ。人が本当に恐れなければならないのは,不安に感じることを恐れることだ」という答えを見つけ出します。
これが逆説志向の出発点で、この逆説志向が世界的な名著「夜と霧」を生み出す原動力となります。
「夜と霧」は「言語を絶する感動」と評され、人間の偉大と悲惨をあますところなく描いた本とされ、日本をはじめ世界的なロングセラーとして600万を超える読者に読み継がれてきています。フランクルの説く逆説志向は禁煙に限らず、人生のあらゆる局面で悩みを抱える人たちの支えとなり、力強く励ましてくれることと思います。』
『社会不安障害、強迫性障害、赤面恐怖、対人恐怖、過呼吸発作、パニック発作、書痙(しょけい:人前で字を書こうとすると震えてしまうような症状)、吃音(どもり)、閉所恐怖などの症状にお困りの患者さんに劇的に効果がある。
もうこんな精神療法の一種があることも、「逆説志向」などという言葉を知らない精神科医が多いのではないか?
最近では、上記のような障害には、薬物療法を中心として、精神療法的には認知行動療法、内観療法などが主として行われるが、なぜこの治療法があまり用いられなくなったのか?不思議である。
あまりに劇的に効果があるので、はやらなくなった?? 薬物療法を続けておくほうが当然医者としてはエネルギーは少なくて済む?
むしろ、V.E. フランクルといえば、「夜と霧」というほうがご存じの方が多い。一方でこのような素晴らしい、精神療法の技法を残しているのである。
精神医学大辞典(講談社)にはその理論として、以下の様に説明している。
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『「不安神経症(現在のパニック発作に相当するであろう)の患者は不安発作を恐怖し予期不安におびえてこれらの不安から逃れることに腐心し、強迫神経症(現在の強迫性障害に相当するであろう)は強迫に対して不安を強め、強迫観念を抑えつけようとたたかう・・・・・、このように不安から逃れようとすればするほど、強迫に逆らえば逆らうほどかえって不安や強迫は強化され・・・」症状は悪化する。「これに対して、逆の方向に志向しようと努める。・・・もっと不安にもっと強迫的になろうとする。」
このように非常に逆説的である。
精神医学大辞典だからこのように大変わかりにくい。簡単なことを、難しそうに説明しようとするのが学者の役目である。
だから、わかりやすいように、多くの場合以下の様な図を書いて患者さんに考えてもらう。
症状:(強迫性障害、赤面恐怖、対人恐怖、パニック発作、書痙、吃音、閉所恐怖、電車に乗れない、飛行機に乗れない、過呼吸発作・・・・) ↑
↓
変な風に見られる、格好が悪い、人に見せたくない ↑
↓
隠そうとする、やめようとする ↑
↓
また、症状が出るのではないか。(期待不安):不安の増強 ↑
↓ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒
期待不安がキーワード
上記の悪循環を断ち切るためには、どこを切るのが最も手っ取り早いか?
そしてヒントとして、多くの患者さんは、診察室に入るやいなや、この症状を隠そうとしないで積極に症状について話していることを指摘する。診察室では症状は出ない、なにしろ患者さんは症状を治療者に見せなければならないのだから。 そこで多くの方は「ハッと気がつく」、そう医者の前では隠そう、やめようとせずむしろ積極的に見せているからである。
そこで、症状の復習、私の前で、患者さん本人の症状を出す練習をしてもらう。診察室の中で確認:強迫性障害、顔を赤くする:赤面恐怖、対人恐怖、パニック発作:パニック発作、書痙、吃音、閉所恐怖、電車に乗れない、飛行機に乗れない、過呼吸発作・・・・、多くの場合、出そうとすればするほど、症状は消失してゆく、後は「もっと自信を持って、症状を出す練習を、さらに次回までの宿題としてお願いしておく」、たいていの患者さんは、数回この様なセッションを行うと、症状は消失するか、軽快する。
最初、患者さんは、たいていこの話をすると、懐疑的あるいは心配でその一歩を踏み出せない。だから、薬物療法を少し、ほんの少し行うと、「宿題をする際」に踏み出しやすくなる。
大体1~2週間に1回、数回くらいで軽快状態に入る。 症状が軽快し始めたら、薬物療法のやめてゆき方を指導する。うまくいったら「卒業」である。だいたい数カ月、本当にうまく行けば、1~2回のセッションで「卒業」する。
この治療法は、V.E. フランクル著:高瀬博、長瀬順治 訳「現代人の病」―心理療法と実存哲学―(丸善)に詳しい。当院に来院しなくても、うまく理解できる方ならこの本をお読みになることをお勧めする。
学生時代、二日酔いで苦しむ私に、ある同級生が「お酒を一日飲んだだけで、二日も酔っていられるなら、それは幸せであると考えろ」と言った。これもある意味、逆説志向、私も二日酔いになるほどお酒を飲まなくなった。
ご本人の了解をいただいたうえ、ご本人と同定できない程度に改変してあります。』
他のことにも応用が利く様に、医者の書いたページなどから写して置きました。
お礼
ごめんなさい、わがままで(T_T) そうですねっ!! そんな感じで生きてきます! ありがとうございました!