興行チケットの委託販売、独占禁止法上問題では?
日本は資本主義国であり、物の価格は、販売店の自由な競争の下に決まるのが原則です。独占禁止法及び公正取引員会の告示により、「消費者には○円で売ること」という条件を付けた売買は、いわゆる再販売価格維持行為として原則として法的に禁止されています。だから全く同じ製品でも、店によって値段が違うわけです。
例外もあります。電気・ガス、これは運賃が認可制になっていて、もちろん法令に基づいて料金自体が役所により認可されています。書籍・雑誌、こちらは独禁法と告示が再販売価格維持行為を例外的に認めています。
ところが、原供給者(メーカー等)が自ら販売しているわけでもないのに、法的な位置づけもないまま、消費者が日本全国どこへ行ってもどの業者(プレイガイド)でも同じ価格を押し付けられている商品ジャンルがあります。それは興行チケットです。チケット屋に行けば値段が違う?それは消費者に販売された後の、一種の中古販売なんです。つまりチケット屋は古本屋と同じなんですが、本は再販売価格維持が法令で認められているわけです。なぜ興行チケットが、再販売価格維持が法令で認められている本と同じく、中古以外で、「定価」でしか手に入らないのでしょうか?
これは興行チケットでは、原供給者(興行主)が自分で販売しないのにもかかわらず、他の事業者に売買の形で販売せず、もっぱら「委託販売」といって、プレイガイドに販売を代行してもらっているという形式を採用しているからです。
しかしこのようなことがまかり通れば、原供給者は「定価」を消費者に押し付けることができてしまいますので、再販売価格維持を原則として禁止した独禁法の趣旨に反するのではないかと思われます。あるいは問屋Aが、興行主にチケットの卸売販売を申し込んだのに拒絶すれば、独占禁止法上やはり禁止されている「不当な取引拒絶」に該当しそうです。
現在の興行チケットの流通形態が、再販売価格維持を禁止した独禁法(の趣旨)に反するのではないかと思うのですが、皆さんはどうお考えになりますか?そんなに定価を押し付けたければ、せめて他の事業者を介さずに消費者に直売しろよ(それでも「不当な取引拒絶」の問題は生じる)、と思うのです。
お礼
お礼します