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BS規格の工具
イギリス車のミニ(ローバー)を整備する際はBS規格の工具を使わないと整備できない箇所があると聞いたんですがそれは具体的にどこでしょうか? またミリ工具を使える箇所もあると聞いたんですが本当ですか?
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>イギリス車のミニ(ローバー)を整備する際はBS規格の工具を使わないと整備できない ???何か誤解がある様な。 御質問からは逸れますが、まずは英車のねじ規格について話しましょう。 ※英国の自動車(バイク含む)の本来のねじ規格は、BSではなくWW(ウィットワース)です。 ※BS規格はWW規格を包括する英国の基本的工業規格であり、WW規格と寸法的には概ね同じなのですが、しかし例えば工具の表示サイズや標準ピッチなど、全く違う要素もあります。(WWはBSの一部の特殊規格で、BS規格が全てWW規格に適合するワケではない、ということです。日本で言うところのJISに対するJASOの様なモノと言えるかもしれませんが、しかし感覚的にはJIS対JASOよりBS対WWの違いの方がずっと大きいです。) ※故に古い英車の整備では、WW規格の工具が必要になります。 但しWW規格はもう何十年も前にISO(国際工業規格)で否定され、一時期WW工具の入手は、日本では困難を極めました。 日本製工具だと、BANZAI製ぐらいしか入手出来なかった時代が長く続きましたが、最近はKTCなどでも作っている様です。ワタシは二次大戦後間もない時代のジャガーの車載工具(=WW工具)を集めて使っています。 ※肝心のクルマ本体の方は。 ISOでWW規格がドロップしてから、英車自体に使われるねじはBS化(或いは最大の輸出先である北米インチ化)が少しづつ進み、色々な規格のインチねじが混在している英車もあります。 ※でその北米インチねじですが、これは通称セラーズねじ、正式名称はUN規格というヤツで、BSともWWとも全く違います。 ホームセンターなどでメーカ不明のインチ工具が安売りされていますが、これらはほぼ例外なく北米インチで、古い英車にはほとんど役に立ちません。(実は何種類かの工具サイズでは『偶然』WWとUNで互換性があるのですが・・・・現実的に同じサイズでも、WWとUNではサイズ表示の番号が全く違います。) ※ついでに。 1990年代に国際単位系の強制執行(?の様な大改革)があり、現在では、北米も英国も国際規格=ミリ規格になりました。(この時期日本でもkgfがNに、mmHgがPaに、など国際単位系への変更が入りました。) ・・・・っというワケで、さてミニですが。 >BS規格の工具を使わないと整備できない箇所があると聞いたんですがそれは具体的にどこでしょうか? ※上述した様に、ミニに限らず古い設計年度の英車は全てのねじがインチ規格で、基本的にミリ工具で回せるねじは使われていません。 ただミニは、英車の中では早い時期に脱WW化が進んだクルマであり、実際、殆どのねじでBSインチの工具が使えます。 っというワケでWW工具を買いそろえる必要はありませんが、そうですねぇ、例えば・・・・コラムシャフトとラッピユニットを接続しているピンチボルト&ナットなどは、BS工具やUSインチ工具でも十分締められますが、WW工具の方がビミョーにシックリしますね。 理想論を言えば、WW工具が何種類かあった方がよいのかもしれません。 ※それともう一つ。 ワタシ自身、エンジンのOHまでは自力でやったことがないのでよく判らんのですが、エンジンや変速機の中はWW工具が必要かもしれません。(ミニのA型エンジンは'40年代の設計なので、WWねじが残っている可能性アリ、という話です。) >またミリ工具を使える箇所もあると聞いたんですが本当ですか? 基本的にインチ工具が必要なのは上述した通りですが、実はミリねじが使われているところもあります。 それはエアコンです。 エアコンは英国本土ではメーカ設定がなく、日本にあるミニでローバージャパンが仕入れたモノは、例外なく日本国内で日本製のエアコンが装着されています。 尚、オイルドレンボルト、ホイールナットなどもミリ工具や北米インチ工具で回せない事はありませんが、若干ガタが大きく、特に標準装備の2重構造のホイールナットはBSやWW工具以外で回すとカバーをつぶしてボルトが回せなくなることがあります。(つぶさずに回せる場合もあります。この辺りは、ナットや工具のビミョーな工作誤差に基づく差なんでしょう。) ミニにはこういうねじが他にもいくつかあって、ミリ工具をかけてみて『若干ガタが大きいが回せそう』と感じても、ちゃんとBSやWWの工具を使うことをお勧めします。
お礼
詳しくありがとうございます。大変参考になりました。