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エドガ-・アラン・ポー『黄金虫』とコナン・ドイル『踊る人形』の暗号に関する疑問
- エドガ-・アラン・ポーの『黄金虫』とコナン・ドイルの『踊る人形』はどちらも暗号を使った小説であり、古典として高い評価を受けています。
- 『黄金虫』において、ポーが comComしてしまった同じ間違いが『踊る人形』にも存在することが指摘されています。
- 質問者は、具体的な間違いについて知りたいと思っており、回答者に直接の回答かヒントを求めています。
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質問者が選んだベストアンサー
ご質問、拝見するのが遅れました。 おそらくこれは前提としている >「黄金虫」の中でポーが犯したのと全く同じ間違いをドイルが「踊る人形」の中でしている事からドイルがポーの「黄金虫」をそのまま引き写した事が判る。 が誤りであると思われます。 『黄金虫』には、ポーがあえてあきらかにしなかった引用元があります。 質問者さんご自身が指摘していらっしゃるように、 ポーは作中で 「さて、英語では、最もひんぱんに出てくる文字はeだ。そのあとは、aoidhnrstuycfglmwbkpqxzの順でつづいている」(松村達雄訳) と書いていますが、これはポー自身の統計結果ではないのです。(参考文献:長田順行著『暗号と推理小説』教養文庫) まず、この中にjとvがありません。 ところが、解読した暗号文は、 " A good glass in the Bishop's hostel in the devil's seat...."のように、"v"が二度に渡って使用されています。 ここでふれられていない"v"がどうなっているのか、ポーは説明していません。 もうひとつは、この頻度が、子音の三つのグループの中でアルファベット順にならんでいることです(dからt、cからw、bからz)。 以上のことから、長田順行は、ポーは、アブラハム・リースの編集した『百科事典』のなかの、暗号に関するウィリアム・ブレアの論文『暗号』を下にした、と結論づけています。 したがって、ポーの誤りは、 ・暗号文にvが含まれているにもかかわらず、ひんぱんに出てくるものとしてあげた文字の中にvを入れていない(これでは対照ができない)こと、 そして、 ・実際の使用頻度が、統計上の根拠あるものではない、ということになります。 そしてこの誤りは、ポーが典拠とした文献の誤りによるものである、といえそうです(この本ではもうひとつ、水溶性の硝酸塩で作った消えるインクが、数百年の海辺の風雨に耐えるものではないこともポーの誤りとして指摘してあります)。 一方、ちくま文庫から出ているシャーロックホームズ全集第八巻、このシリーズはシャーロッキアンたちの蘊蓄満載の豊富な注解がついていて、大変楽しい本なのですが、これにはマデライン・B・スターンの本から以下のようなことが引用されています。 「ホームズの暗号および暗号文に関する本の収集のなかには…ベーコンの暗号文、そしてトルコ軍が使っていた暗号の解読について書かれたフォーコナーの『暗号解明』、またこの本と同様独創的な暗号について書かれたジョン・ウィルキンズの『ヘルメス』の二冊である」(p.470) 『踊る人形』では、 「おおまかに言って、各文字の現れる頻度順にT,A,O,I,N,S,H,R,D,Lということになるが、T,A,O,Iの四つは互いに互角というところだ」(高山宏訳) 注解にはアルファベットの頻度順が何種類かの本をもとにあげられていますが、あきらかに、ポーに較べてドイルの方が正確であることがわかります(例:『暗号の科学』によればE,T,O,A,N,I:R,S,H:D,L:C,W,U,M:F,Y,G,P,B:V,K:X,Q,J,Z)。 これはドイルがポーを典拠としたとは言えません。 ただ、この『踊る人形』にもいくつかの齟齬はあることは本書の注解で指摘してあります(『黄金虫』とは無関係)。内容とは若干離れるので、質問者さんが興味がおありでしたら、ぜひ本書をお読みください。 再度『暗号と推理小説』に戻ります。 この本によると、 「文字を置き換える(換字)暗号を使った代表的な推理小説といえば、ポーの『黄金虫』とドイルの『踊る人形』ということになる」 そうした意味で、共通する作品ではありますが、「全く同じ間違い」という前提が、いくつかの問題点を混同した結果、おこった間違いであるということになりそうです。
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- zephyrus
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お騒がせしております、#2です。 #3の方おっしゃるとおり『英語における最頻出文字はE』は動かせないところと知りました。 もう一度Web上を検索し、手持ちの本にも当りましたが、私の妄想を立証する資料はなく、逆の結果が出るばかり。 いまさら何を言うこともなく、最頻出文字はどんな文章においても最頻出とは限らないと強弁することは恥の上塗りであり、基本的な知識にも欠けた、安易な、誤った回答であったことを認めざるをえません。深くお詫び申し上げます。 ただ、ポーの推理力には今日から見て無理があるという話はニ、三読んだことがあるのは事実で、たとえば小林秀雄と江戸川乱歩が対談したものがあって、あの中に「メルツェルの将棋差し」が話題に上っていたのは確かなのですが、「黄金虫」のことまで触れられていたかどうかが定かでありません。(私が読んだのは1973~1976のころ) 「黄金虫」の、文字を割り当てていく方法が恣意的である、というのはよく指摘されていたはずです。それを一挙に「e」がそもそもおかしいと飛躍した私がバカでした。
お礼
色々調べて頂いて本当にありがとうございます。 確かに「最頻出文字はE」は動かせないものなのかもしれませんが、以前私もいつでもそれが成り立つのかと疑問に感じたことがあります。ちなみにポーの推理は論理的に無理があるという話は私も聞いたことがありました。「黄金虫」に関しては、“最初からこう解けるという知識があればこその解法であって、あのような解読は不可能である”というようなことが書いてあったと記憶しています。 ともかく本当に誠実な回答をして頂いたことを感謝しております。
- turbulence
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またまたすみません。No.3です。 ああは言ってみたものの気になって、私も検索してみました。 参考URLが参考にならないでしょうか? IEなら「編集」→「このページの検索」で「ミス」を検索し、ページの一番上から3つめでひっかかる箇所です。
お礼
ご回答ありがとうございます。 参考ページ、興味深く読ませて頂きました。絵文字が特定できないというミスですか~。ということはポーも同じ間違いをしているのでしょうか…。両方の本をもう一度読んで確認してみたいと思います。2度も回答して頂き、本当にありがとうございました。
- turbulence
- ベストアンサー率47% (8/17)
すみません、直接の回答ではないのですが…。 『英語における最頻出文字はE』というのは間違っていないと思います。というのも、そのことはつい昨日閲覧したマメ知識のHPにも載っていましたもので…。
- zephyrus
- ベストアンサー率41% (181/433)
最頻出文字がEだという、まさにそのことだったと思います。 そう思ってWeb上をかなり探してみましたが、残念ながら見つけることはできませんでした。また、そう書いてあった本がなんであったか、例によってまったく記憶になく、これも頭打ち。 改めて二つの暗号小説を読み比べてみると、共通するのは、最初に書きましたように「E」を英語の最頻出文字としていることです。二番目以下はポーとドイルの見解は異なります。また、ドイルでは「the」を扱っていません。 以上、参考意見の域を出ません。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 最頻出文字がEだということなんですか!? もしそうだとするなら、暗号解読の手法が根本からして間違っている、ということになりますよね。かなり驚きなお話です。色々探していただいたようで、本当にありがとうございました。
- old98best
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たしか、多く出てくる文字がEだという事から初めて、記号の1つ1つをアルフアベットに置き換える手法の事だったと思います。 で、どこが間違っているのかは、自信がありません。 Eの次によく出てくる文字の事だったか、定冠詞Theの扱いの事だったか… ドイルの、旗を持っているのが単語の区切りというのは間違いでは無いと思いますけど。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 そうなんですよね~。2作品とも暗号の基本的な仕組みは同じなんですよね。でも“間違い”については良く分からないんですよ。ちなみにEの次によく出てくる文字についてですが。 ポーはA、O、I、D、H、N… ドイルはT、A、O、I、N、S… で異なっているんですよね~。だからこのことではないのかなぁと思うんですけど。
お礼
丁寧なご回答、どうもありがとうございます。 質問の前提にした引用がそもそも間違いだったのですね…。誤った質問でしたのに回答して頂けたこと、感謝しております。大変分かり易く、とても参考になりました。 回答して頂いた内容を踏まえてもう一度、2作品を読んでみます。そして『暗号と推理小説』と『暗号の科学』、こちらも両方読んでみたいと思います。本当にありがとうございました。