銀行預金や郵便貯金は,動産ではありません。これらは「債権」といいます。
動産とは,不動産でない「有体物」のことです。すなわち,形があって手で触れるもの,というくらいの意味です。
頭を整理してください。民法では,権利の主体は,人であり,権利の客体は,物です。人は,自然人と法人に分かれます。物は,動産と不動産に分かれます。ここまでは,物の性質に関する分類で,権利とは無関係です。
また,物というと,民法では「有体物」に限られています。すなわち,人が物理的に(早い話が腕力によって)支配できるということが前提です。ですから,形のないものは,民法上の「物」ではありません。銀行預金は,預けたお金を払い戻してもらう権利のことですが,これは腕力では支配できません。預金者という立場であって初めて権利を得ることができるものです。したがって,これを「物」ということはできないのです。
次に,権利という概念が出てくると,いわば「支配者」と「被支配者」に分かれます。ここで,人と物の関係が「物権」であり,人と人の関係が「債権」です。
物権では,常に人が支配者であり,物が被支配者です。債権では,一方の人が支配者(債権者)であり,他方の人が被支配者(債務者)となります。
預金は,ある人(預金者)が,別の人(銀行)に対して,お金を払えと請求する権利のことですから,これは債権なのです。
民法の条文は,このような理解を前提として組み立てられています。
お礼
ありがとおうございました。文章で表現するのは非常に難しいと思いますが、一番わかりやすかったです。