人の心や宇宙の誕生どころか、数学に出て来るありふれた概念ですら、数式で書けないものが幾らでもあるんです。
数式は文字・記号を並べた列です。そこで、数式に使うあらゆる文字・記号を並べた一覧表を用意し、そして、それらの文字・記号に0から順に番号を付けます。さて、数式fをひとつ持ってきたとき、その文字数をN(f)、また数式fのk文字目の記号の番号をs(f,k)とします。また、k番目の素数をp(k)とします。そして、
G(f) = (p(1)^s(f,1))×(p(2)^s(f,2))×…×(p(N(f))^s(f,N(f))) ( x^y は 「xのy乗」という意味です。)
という数を考えると、これはひとつの自然数です。また逆に、自然数G(f)が分かっていれば、それを因数分解する事で1文字目の記号の番号s(f,1), 2文字目の記号の番号s(f,2), …, N(f)文字目の記号の番号s(f,N(f))がそれぞれ一通りに決まるから、これでfが分かります。
つまり、このやり方で、どんな数式もひとつの自然数と対応付けることができる。(ちなみに、G(f)を数式fの「ゲーデル数」と言います。)
ですから、数式の個数は自然数の個数よりも少ないんです。
一方、たとえば実数は自然数の個数よりも多く存在します。0から1の間の実数に限ってすら、自然数の個数よりも多いんです。(これは「対角線論法」を使って証明されます。)
ということは、つまり、どんな数式でも表せないような実数がいくらでも存在する訳です。
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ところで、数学は科学ではない。(人の心や宇宙の話を含め)科学の対象は現実の世界に属する物・事ですが、数学は現実とは直接の関係がないんです。この話については、こちらもご参考に→ http://okwave.jp/qa/q3637967.html