本格的な戦闘に巻き込まれる恐れが絶対無いとは言いませんが、その可能性は低いと思います。
もともとスーダン軍の兵力は11万人しかいません。
そのうえスーダン政府はダルフール紛争も抱えており、さらには2008年にはそのダルフールの反政府勢力に首都を攻撃されるという事もありました。
だからスーダン軍は現在ダルフールと、首都や主要都市の防衛、そして南スーダン軍との戦闘と兵力を分割しており全軍を南スーダンに振り向ける事ができません。
そして自衛隊のいる南スーダンの首都ジュバはスーダン国境から500キロも南にあります。
そのため現在のスーダン軍に南スーダン軍を撃破して、さらに500キロも進撃して首都ジュバまで到達する能力、可能性は殆どありません。
スーダンの大統領は南スーダンを解放とか首都ジュバまで到達とか過激な発言をしてはいますが、スーダン軍の軍事的能力からその可能性は低いと思います。そもそもスーダン軍にその力が無いからこそ南スーダンの独立を許す事にもなりました。
だから現在のところ自衛隊がすぐにスーダン軍と南スーダン軍の戦闘に巻き込まれる恐れはありません。
スーダンの最大の目的は国境付近の油田です。南スーダンも油田が欲しいですから独立以来、スーダンと何度も国境付近で激しい戦闘が繰り返され、国連やEUやAUが停戦を呼びかけ、これまで決着のつかないまま停戦となっています。
国連の部隊もその巻き添えで攻撃を受けました。
今回もまたそうなると思います。どうやら南スーダンは占領した油田から撤退しスーダンが奪回したようですが、そのままスーダン軍に南スーダンの首都まで進撃する事はできないでしょう。
だから現在のところ国境から離れたところにいる自衛隊が両国の本格的な戦闘に巻き込まれる恐れは低いと思います。ただし、このまま両国が国境付近で戦闘を続ければ、スーダン軍がそのうち首都ジュバ付近に空爆を行う可能性も出てきます。そうなれば、もしかしたら自衛隊も被害を蒙る可能性が小さいながら出てくるかと思います。
なお南スーダンはスーダンとの戦闘だけでなく、国内で大規模な部族紛争があったり、難民が大勢出ているので自衛隊がそうした問題に巻き込まれるという可能性も極めて小さいながらもあるかと思います。