ニュージーランドの選挙制度は,日本と違って国民投票により決められたので,政党にとって有利かという視点ではなく,純粋に選挙制度として公正かどうかという視点で判断されたと考えるのが自然でしょう。
単純な小選挙区制は,純粋に個人としての国会議員を選ぶという視点であればそれでも良いのかも知れませんが,選挙を各選挙区における政党同士の争いと捉えた場合には,かなり不公正な制度です。
極端な例を挙げて説明すると,仮に日本の衆議院を定数300の単純小選挙区制として選挙を行い,どの選挙区でも民主党が40%,自民党が30%,大阪維新の会が15%,みんなの党が10%,その他の政党が合わせて5%得票したとします。この場合でも,民主党は全300議席を独占してしまい,民主党以外の政党に投票した有権者の票は全て「死票」となり,その意思は国政には全く反映されません(実際,単純小選挙区制を採用しているアメリカやイギリスなどでは,これに近い事態が発生することもままあるようです)。
このような弊害を避けるために,多くの国では小選挙区制と比例代表制を組み合わせた選挙制度を採用しており,ニュージーランドもよりよい選挙制度を求めて併用制への改正を行ったものと思われます。