『他にもパトリオットミサイルを持っている国はあるのに、なぜ韓国はドイツから輸入したの?』
ということでしょうか。
まず、ワッセナーアレンジメントという韓国・ドイツ(もちろん我々日本も)参加している
武器貿易の協定があり、この参加国は他の参加国とのみ武器の取引が可能です。
平和の維持の観点から、あらゆる武器は、厳密な管理の下、輸送管理され域内に留まるわけです。
映画に出てくるような闇商人から武器を買うことは認められません。
また、一部の武器は輸送だけでも開発国(早い話が米国)の承認も必要になります。
というわけでまず対象は限られてきますね。
次に、ドイツの現状。実は近年、ロシア側の対西側ミサイル基地整備がEU諸国の懸念材料
だったわけですが、今年2月の戦略兵器削減条約の発効などにより、一時的な緊張緩和の
状態にありました。(ロシアの選挙あたりから、またロシア側の言動が怪しくなってきましたが)
さらに日本でも連日報道されている欧州経済危機の影響もあり、財政健全化が
急務になっています。現政権は財政健全化に対し、軍縮タブーではない、
として削減に乗り出しています。もともとドイツは先進国の中では日本に次いで、
国民1人あたりの軍事費が低い国なので結構大胆な削減策(常備軍半減など)
も提案されています。
一言で言えば、お金が無いので武器を売りたいわけです。
ただし武器管理上、売れる場所は限られています。
さらに韓国の状況。北朝鮮との軍事衝突がいつ起きても不思議ではない状況になっています。
1年前の延坪島砲撃もそうですが、最近報道されている北朝鮮の異変(国家元首の死去や
国境ミサイル基地の増派)も報道されるより50日くらい前には解っていたと思われます。
一言で言えば、(お金は無いですが)武器を買いたいわけです。
ただし武器管理上、買える場所は限られています。
というわけで。
めったに合致しない条件を見事にクリアした2者の意思があれば、
あとは自然にモノが流れるというわけです。
余談ですが今回の流通ルートはドイツ(輸出国)→フィンランド(寄港地)→(省略)
→中国(寄港地)→韓国(輸入国)ですよね。フィンランドは加盟国ですが
中国はワッセナーアレンジメントに入っておらず、
加盟国としては西側兵器へのアクセス権を制限しなければいけません。
安全管理の名目で寄港地でコンテナ開封される可能性を考えていなかった?
梱包できないほど急いでいた?あるいは梱包代を韓国がケチった?
お粗末で済ますにはちょっと笑えない話ではあると思います。