民謡の伝承について
私は地元で歌い継がれている民謡を地元の保存会に入会し習い始めました。この民謡の力強さと哀愁に引かれていました。ところが最近、いわゆる『民謡家』に指導を受けるようになりました。
私は以前から、この『民謡家』の唄う民謡には魅力を感じていませんでした。その理由は、どの民謡を聴いても全てが同じ発声に聞こえるのです。この世界の人の唄は少し聴けばすぐに『民謡家』とわかります。
民謡といえば、各地で昔から歌い継がれているものですので、同じ節回しや発声はありえないと思っています。民謡は全て違うはずです。民謡は方言のままであっていいと思うのです。標準語になってはいけないと思います。
例えば、畑を耕したことがない人や、漁船に乗ったことのない人がそれぞれの世界で伝えられている労働歌(民謡)をあの節回しで唄うことに大きな抵抗を感じます。
たまに正調の民謡を聴くことがありますが、普段聞く同じ民謡との違いにショックを受けることもあります。この正調が持つ発声、節回しを後世に伝えることが本当は大切と思うのですが、民謡を楽しんでいる皆さんはどのようにお考えでしょうか。