日本の国債の格付けと円相場に相関関係がないからでしょう。
日本の株式相場を見ると、日本の株式のうち、外国人投資家が保有する株式は3割に上りま
す。ところが、株式を保有する日本人は、その株の売り買いをあまり行いません。
値段が上がろうが、下がろうが、日本人は売り買いをせず、保有し続ける傾向があるのです。
逆に外国人投資家は、3割を保有する株式を、積極的に売り買いします。
ですから、日本の株式のうち、動きのあるものは、実にその7割近くが外国人投資家たちに
よってコントロールされています。ですから日本の株式は、短期間であれほどに価格が上下
するのです。
ですが、国債は違います。国債は、その94%を日本人、もしくは日本企業が保有していま
す。元々売り買いを好まない日本人が保有しているのですから、たとえ外国で日本の国債の
格付けがどんなに引き下げられようが、日本人がこれを売るわけがないのです。
金利の低い国債を、リスクを好む外国人投資家たちが保有したがるわけがありませんし、ま
たもし日本の国債に影響を及ぼすほどに彼らが日本の国債を買うのだとすれば、それは日本
の国債が買われるということですから、今以上に日本の国債の価値は上がり、益々金利は
引き下げられる事でしょう。
一方でアメリカの場合は、実際には国債の格付けが引き下げられたからと言って、米国債が
債務不履行に陥るわけでもありませんし、実際にそういった状況が発生するのなら、FRBに
ドルを発行させて買い取らせれば済むだけの話ですから、本来であればその利回りに格付け
機関の評価が影響することはないはずです。(実際には価値が下がる、と言うことは利回り
が上昇する事を意味していますから、投資家たちにとっては渡りに船、と言ったところでは
ないでしょうか。)
影響を受けるのは何か。過去のリーマンショックがそうであったように、株式に代表され
る、様々な金融商品の価値です。
ギリシャのようなケースは別として、通貨を発行する能力のある国の国債が元本割れする事
は基本的に考えにくいケースですが、その他の金融商品は違いますね。元本割れする前に売
却し、現金化しよう、と考えるはずです。
それともう一つ。現在の超円高の主犯格。「エンキャリートレード」の存在です。
低金利で借り入れの行いやすい日本の銀行からお金を借りて、米国のリスクが高く、しかし
金利の高い金融商品の購入に充てる手法。
リーマンショック以降、このシステムが崩壊し、逆転現象が生じているということ。
つまり、元本割れを起こした金融商品を全て売却し、為替相場でドルを円に換え、さらに日
本の銀行への返済に充てる、という流れが起きたということ。
これまでは日本でお金を借りて、そのお金をドルに換金していましたから、日本の実体経済
を上回る円安で市場は推移していました。ところが、今度はまったく逆の現象。すなわちド
ル建ての金融商品を売却し、さらにドルを円に換金する、という流れが生じましたから、日
本の実体経済を大幅に上回る円高で市場が推移しているのです。
つまり、現在世界中のお金が日本に集まるような、そんな流れが生じているのです。
彼らは少しでもお金を儲けたい、と考えているわけですから、わざわざ値段が上昇する傾向
にある円をドルに換えようとするよりも、むしろ日本の国内で商取引を行おう、と考えるの
ではないでしょうか。
加えて現在の日本政府は無策。ここまで上昇した円相場を放置している状況です。
さらに震災後、日銀が市場から短期金融商品を買い上げ、合計105兆円に及ぶ金融緩和を
行いましたね。であれば、この105兆円のお金を狙って、さらに日本にお金が集まってく
るのは必然では?
さらにアメリカではFRBにドル紙幣を刷らせて、市場にばらまいていますね。彼らにとって
みれば、「装填完了」と言ったところではないでしょうか。
金融緩和を行うんだったら、「日本人にしか貸さない」っていう制度でもこしらえたらどう
かと思うんですが。
お礼
ありがとうございました。