手術自体は簡単な部類の手術に入りますので、基本的には成功率など心配は何もいりません。
危ない合併症の中には、陰嚢の手術ですので、精管を傷つけて、将来的に男性不妊の原因になってしまうというものもありますが、余程の素人医者でもない限り、通常こうしたミスはまず起きません。簡単な合併症としては、やはり水腫を起こしているフクロの切除・結紮が不十分で、再発してしまうものでしょうか。これもやはり素人ならではの合併症です。
ですが、一番の問題はと言えば、簡単な手術だけに、新米医者や研修医の練習台になりやすいということです。指導医がついていますので、失敗することはありませんが、傷の大きさや傷痕などの出来栄えについては、多少へたくそになることもしばしばです。
そうした点について気にされるようでしたら、ちゃんと年季を積んだ小児外科医に執刀を依頼されるとよいでしょう。陰嚢水腫は小児外科と、泌尿器科の両方で手術が行われています。専門はと言えば、泌尿器科の方がより専門的ではあるのですが、残念ながら、泌尿器科の先生は大人の方を診る機会の方が多いので、多くは小児の繊細な細かい手術を丁寧に行ってくれる先生は少ないものです。そうした点では、小児外科医の方がはるかに細かく気遣っていただけ、手術も上手な方が多いと思います。
それから、手術は全身麻酔をかけて行われますので、リスクという点では、手術のリスクよりも麻酔のリスクの方がはるかに高くなります。小児の全身麻酔は、大人の何倍も危険を伴いますので、可能ならば、小児麻酔科医(麻酔科医の中でも小児を専門に麻酔をかけている医師です)のいる病院で手術されることをお勧めします。簡単な手術だからと、外科医が麻酔をかけているところも多くありますのでご確認ください。
いろいろ書きましたが、一番大切なのは、手術される先生が信頼できる先生かどうかということです。今感じておられる不安も含め、遠慮せずにいろいろ質問してください。良い先生ほど、わかりやすく説明してくれますし、自然と信頼できるかどうかがわかると思います。 お子様、お大事に。