自費がいい治療とは限りません。どう判断するかは自由なので説明のみにします。
歯は俗に神経と呼ばれている歯髄で栄養補給をして生きています。
しかし実際に歯髄によって生きているのは「象牙質」と呼ばれる部分だけです。
エナメル質は結晶なので栄養補給はありません。
また象牙質も加齢により次第に結晶化が進んで栄養補給はなくなります。
更に虫歯により象牙質の管の中にある有機物(細胞)は容易に死んでしまいますから虫歯部分では象牙質は既に死んでいる。ちょうど飾り物になった珊瑚のような状態だと思ってください。
つまり歯髄によって歯が得られるのは水分だけです。
抜髄(神経を取る治療)によって歯はその水分すら補給できなくなります。だから脆くなるのです。
栄養補給が出来ないというのは健康な状態では正解ですが、虫歯治療ではほぼ不正解なんです。
で、ある程度の厚みと量が残っていれば、歯はつめるだけで充分残せます。
前歯であればポストを入れて補強すれば折れる事も少なくなります。
但し、脆くはなっているので絶対ではありません。だから「将来破折したら被せるでよければ」という条件で出来ないわけじゃないという程度です。
被せるまでの期間は個人差が大きく、一概に何年くらいモツという事はいえません。
歯が破折する場合、必ずしも横に割れるわけではありません。多くは斜めに割れます。噛む力は縦に加わるからです。この場合破折線が縦に近くなればなるほど、歯の温存は出来なくなります。
基本的に破折が骨の縁より下に入ってしまったら抜歯の対象になります。
脆くなって割れる可能性があり、それが場合によっては抜歯に繋がるとすれば補強するのがイイに決まっています。
特に前歯であれば、かみ合わせの力は斜め方向に加わり、横方向ベクトル(歯を割ろうとする方向)が形態上避けられないので補強は必要だと私は考えています。
私は患者さんが望まなければ上の条件を説明した上で、補強で止めることもあります。
長いものでは稀に十年以上もつこともありますが、概ね数年(2-6年)と考えていいと思います。
もちろん使い方や環境によっては1年以内に被せることになる場合もあります。
根の治療後に被せなければならないのは保険制度状の制約で自費には関係ありませんし、その制度の根拠も予算削減という以外に何もありません(被せれば2年間は保険請求できないからです)
従って、基本的に自費であれば制約が無いので、条件さえ整えば詰めるだけでもOKですが、高い治療費を頂いて詰めるだけ、しかも何の保証も出来ない治療は出来無いと言う事で確実な「被せろ」と言っているのかもしれません。
中には「神経が無いと脆くなるから被せる」と原理も判らずに一連の手順としてしか考えていない先生もいる事は居ます。
お礼
ありがとうございました!
補足
ありがとうございます! なるほど。。。 補足でお願いしたいのですが、かぶせない場合はどうなのですか? その場合も、ポストを入れるんですか?