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加圧水型軽水炉は冷却のための電源は本当に不要か?
加圧水型軽水炉(PWR)の北海道電力は「全電源が失われても蒸気を動力にして水を循環させる冷却系統で原子炉を冷やすことができ、冷却のための電源は不要」と言っています。この「蒸気」は何処からくるのでしょうか。崩壊熱で発生する蒸気を利用するとしても、「冷やす」わけだからある程度冷えれば圧力も低くなると思います。火力発電所の「蒸気溜め」の様なものがあり、その残圧を利用するのであれば、一定の時間が経過すればなくなります。本当に冷却のための電源が無くても大丈夫なのでしょうか。
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- jkpawapuro
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>72時間で復旧できるでしょうか? それは考え方が少し違うと思います。 72時間で復旧できるような準備が必要なんです。 (東電のように何も想定しないと言うのはお話になりません。) 要は72時間以内に必要な電源を送電網以外の方法でも確保できるようにする工夫が必要で、電源車等の手配をあらかじめしておくべきなんです。 崩壊熱は等比級数的に下がるため、最初の72時間を凌げばほとんど急場はしのげるわけです。 詳しいことは分かりませんが、 緊急時の対策として上部にタンクがありそこから冷却水を落とせるということは、それこそそのタンクの上からはしご車で水を入れればそれで済むのではないでしょうか?また上から入れないでも、必要な配管くらいつくってあるはずだと思いますし、後付けもできないわけはないです。 PWRの場合、それこそ二次循環系の蒸気を開放するなら減った分を直接水を入れてしまえばいいのではないでしょうか?
- f-zebra
- ベストアンサー率28% (4/14)
冷却水を循環するためには普通は動力が必要ですが、ここは工夫次第である程度の流量までは自然循環させることが可能です。BWRの最新型であるESBWRでは通常時から再循環系は自然循環ですし、原子力潜水艦の動力(PWR)は低出力時はほとんどのポンプを止めて自然循環で運転できるそうです。(ポンプは騒音源なので見つかりやすくなる)また、事故等で電源が喪失した際に蒸気駆動のポンプで循環させる仕組みはPWRにもBWRにも備わっています。 ただし、循環させるだけなら崩壊熱が続く限り系統全体の温度は上昇していくため、どこかで除熱が必要となります。普通は海水と熱交換しますが、海水ポンプは外部電力がなければ動きません。PWRのメリットは、蒸気発生器で発生した蒸気を発電用タービンに送る代わりに大気に放出することで、気化熱で効果的に熱を奪えることです。放射能を含む1次系とタービンを回す2次系が分かれているからこそできることで、BWRで蒸気を放出すれば大量の放射性物質を一緒に放出してしまいます。 いずれにしても、想定している外部電源喪失時間はせいぜい数日程度です。従って、使用済燃料ピットの冷却までは考慮していません。今回の事故の教訓として、電源車などの外部電源を受電できる設備を多重化し、一部が使えなくても別のところで接続できるようにするなどの対策が取られるでしょう。 ちなみに、事故時には冷却水がなくなることが一番怖いので、余分の冷却水を常に用意しておく必要があり、しかも動力がなくても供給できなければ意味がありません。使用済燃料ピットが建屋の上階にあり、放射線遮へいと冷却に必要な量より遙かに多い水量を蓄えているのは事故時の予備冷却水として使えるようにするためです。
- jkpawapuro
- ベストアンサー率26% (816/3045)
それはちょっと違います。 新しく設計した最新式の加圧水型軽水炉ならば、全電源が失われても蒸気を動力にして水を循環させる冷却系統で原子炉を冷やすことができます。今稼働している既存の原子炉ができるわけではないはずですが? ちなみに新しく設計した最新式の沸騰水型軽水炉ならば、全電源が失われても(72時間分)の冷却水を上にあるタンクから供給できます。 それで”崩壊熱で発生する蒸気を利用するとしても、「冷やす」わけだからある程度冷えれば圧力も低くなる”と言うのはもっともですが、それは崩壊熱が低ければそもそも冷やすために必要なエネルギーも下がりますよ。 原子炉内で熱がたまればまた圧力が上がるわけですし。 中の温度が上がればそれに応じて蒸気が発生しそれに応じて冷却系が回せるわけですから、そこは心配ないですよ。 そもそも中から発生する熱より冷却系を動かすのに必要なエネルギーのほうが多ければ、発電としても成り立ちませんので。
補足
教えていただいてありがとうございます。 「最新式の沸騰水型軽水炉ならば、全電源が失われても(72時間分)の冷却水を上にあるタンクから供給できます。」とのことですが、たとえば送電線の鉄塔が倒壊することも想定しなければならないと思います。72時間で復旧できるでしょうか?次に、福島では崩壊熱による水温を100℃以下に保とうと必死になつている状態ですね。加圧水型の場合、停止後何時間かは崩壊熱による蒸気を使えるかもしれませんが、100℃以下に冷やす冷却水の「蒸気」(湯気)を当てにできるのでしょうか?
お礼
教えていただきありがとうございました。 「気化熱で効果的に熱を奪える」事には考えが及びませんでした。 しかしながら、「想定している外部電源喪失時間はせいぜい数日程度で、使用済燃料ピットの冷却までは考慮していない」ということですね。それまでに、安定的に「冷やす」条件が整えることができるか?とうい事なのですね。外部電源・発電所内の電源設備・海水ポンプ・配管の損傷etc。
補足
「気化熱」とありますが、二次冷却系はタービンの手前は気体であり気化熱で冷却は考えられないと思うのですが。まさか一次冷却系を大気へ放出して、放射性物質をばら撒くわけではないですよね。