共産主義と資本主義の戦い(冷戦)があったからです。
この流れを理解していただくには、二つの流れを知る必要があります。
ひとつめは「啓蒙思想」でもうひとつは「帝国主義」です。
啓蒙思想は共産主義の生みの親ともいえる思想で「個人の権利」を大切にする考え方です。今では一般的な考えになっていますが、封建時代で身分差がある時代では危険な思想でした。なぜなら個人の権利を一般化するには平等でなければならないからです。
フランス革命とアメリカ独立を得て、啓蒙思想は世界に広がりを見せます。そして個人が平等である、ということは資本主義にとっても大切なことである、という風潮が広がりました。
身分差がある社会では、お金持ちになっても資本(投資できるお金、土地など)を維持できるとは限りません。階級が上の身分の人に合法的に取られてしまうことがあるからです。
そのため、資本をもった平民身分のひとたちは、封建主義を打倒する側に回ります。革命が起こらなくても次第に多くの国で個人の平等を基本とする民主主義が成立して言ったのです。これをもって、資本主義と民主主義はひとつのコインの裏表だといわれるわけです。
ところが身分的な平等は成立しても、お金をもっている人ともっていない人の差はむしろ広がってきました。資本主義の弊害が出てきたのです。現在の日本の状況も同じです。貧乏で病院にも行けないようでは「個人の権利」は絵に描いたもちになってしまいます。
そのため、資本主義の実力社会でも行過ぎたお金の不公平はなくそう、という考え方が出てきます。これを社会主義といいます。日本や民主主義の国で健康保険があったり、生活保護があったりするのは社会主義の考え方を取り入れているからです。
しかしこれでも(現状を見れば分かると思いますが)貧富の差は解消できず、個人の権利の平等など実現できないという考え方に至る人がでてきて、その人たちは「じゃあ、一切の資本を認めなければお金持ちも労働者も貧困者も無くなって、本当に平等な社会ができる」と考えました。これを考えた人の名をとってマルクス・レーニン主義または共産主義といいます。共産とは、資本を全員の共有にして共に産業を担う、という意味です。
そして、どの国でも資本家よりも労働者(それほどお金のない人たち)のほうが多いのが普通ですから、多くの国で革命や暴動が起きていきます。そしてロシアは王族が処刑されて一気に共産主義になる共産革命が起きたのです。そしてソビエト連邦(ソ連)ができたのです。
このとき、あわてたのは帝国主義で世界中を支配下においていた欧米各国(と日本)です。共産革命の後に第二次大戦が起きたため、当初はソ連と共同してドイツや日本そしてイタリアと戦争をしていたのですが、この三国が負け戦争が終了すると同時に、世界中が大きく変化することになります。
一番大きな変化は今まで植民地だった地域が「民族自決」として独立国になっていったことです。このときにどの国でも資本主義の国になるか、共産主義の国になるかで国内の大論争、場合によっては国内戦争が起きています。
日本周辺で言えば、中国には戦時中日本軍と戦う資本主義組織(国民党)と共産党があり、日本の敗戦後は内戦になって国民党が負け台湾に逃げていきます。そして中国は現在でも続く共産主義国家になったのです(今では共産党の独裁だけが目立ちますが・・)
そして台湾は独立国として残ります。ソ連は今のロシアと同様北海道の近所まで領土がありました。
問題なのは朝鮮です。朝鮮は戦時中まで日本の領土だったのが、日本が負けたためやはり国内紛争が起きました。このとき北はソ連(ロシア)と国境を接していたためソ連軍が応援し、南は日本を占領したアメリカ軍が近かったため米軍を中心として応援しました。これが大きな内戦(朝鮮戦争)になり、他の国と違ってアメリカとソ連が近かったために、勝敗がつかず38度線で休戦することになりました。今でもこの両国は戦争中(休戦)なのです。
そして休戦後は資本主義と共産主義どちらのほうが優れているか、という経済競争になったのですが、ソ連自体が経済競争に負けて崩壊しロシア(資本主義)になってしまったため、北朝鮮は経済的に援助を受けることが出来ずにどんどん困窮したのです。
そして中国が資本主義を受け入れた時点で共産主義はほぼ崩壊したのですが、北朝鮮が崩壊すると韓国(後ろにいるのはアメリカ)が朝鮮半島を統一するため、中国もロシアも韓国と国境を接したくないのです。
それにつけ込んだ北朝鮮は壊滅的な状態でもなんとか国として保つことに成功している、というわけです。
今の北朝鮮は国としては崩壊していますが、本当に壊れてしまうと、近隣諸国(つまり6ヶ国協議の国)がとても困るので、そのままになっているのです。
お礼
詳しく教えていただきありがとうございます 何度も読み返し勉強します。