最大の要因は資産下落です。
中国などから安い製品が入ってくることはさほどの問題ではありません。実際、90年代以降中国から安い製品が入ってきても米国やEU諸国はデフレになど陥りませんでした。「安くなったから2個買おう」「浮いたお金で映画を見よう」というように物の価格が下がったからといって必ずデフレがスパイラル化する訳ではないのです。デフレには良いデフレと悪いデフレがあるわけです。
日本の陥ったデフレ不況としての最大要因は資産の下落です。
1989年12月、日経平均株価は3万8,957円を付け、同時期、東京山手線内側の土地総額でアメリカ全土の土地が買えるというほどにまで日本の不動産価格は高騰しました。(背景には日米貿易摩擦の激化があり、当時の経済情勢として日本が利上げを行うと米国経済へ大きなダメージになる状況があり、このことに気を使い日本で適正な利上げが行われず、行き過ぎた金融緩和状態が続いた事にあり、日本はバブル経済へと突入しました。)
この異常な資産価格の高騰は、その後の資産デフレの布石であり前兆現象とも言うべき自体です。つまり一度資産バブルが発生してしまえば、そのバブル崩壊と共に起こる資産デフレは避けられない自体であるわけです。
企業は不動産や金融資産などの資産を担保にその数倍のお金を借りて商売をしています。その中で利益を出し、一部を返済に当て、状況を見て更なる利益拡大のために、更に借金を増やして設備を増やし商売を拡大させようと経済活動を行っています。平時の経済状態ではこれが好循環として機能しています。
ところが資産デフレという経済状況となると、担保価値が下落することで負債が増え設備増強設備投資どころか借金返済すらおぼつかない状況へと追い込まれます。つまり資産デフレが続くと企業は借金返済、事業縮小、リストラといったことの繰り返しを行う羽目になるわけです。そしてその事が需要を縮小させ不動産や金融資産の資産下落を招き、企業はその更なるデフレに対応するため借金返済、事業縮小、リストラの三点セットを更に迫られることになるのです。
また銀行では企業からの借金返済でお金が戻ってくるも、大多数の企業が事業縮小に動き資産担保の下落が続いているため、銀行などの金融機関では貸し出す先となる投資先不足という状態にも陥ります。
日本は政府が経済対策などに資金をつぎ込んで来たこともあり、デフレといっても年率0.数%というレベルの範囲内に収まり、実質経済成長率も何とかではあるものの上昇を続けてきました。家電製品の値下がりや外食の値下がりは起こりましたが、食料から交通費などのいわゆる生活必需品の価格はほぼ横ばい状態です。
バブル期に抱えた企業の過剰債務問題もほぼ解決されており、現状日本の経済状態はそれほど悪い情勢ではなくなっています。また昨今の資源価格の高騰がリフレ状態を招き、05年の経済状態に似た様な状況になってきています。05年の時はその後資源価格高騰が更に続いた事で日本経済に深刻なダメージとなりましたが、05年周辺だけをみれば資源価格の値上がりがデフレ脱却要因として機能して日本経済に良い影響をもたらしていました。2011年から今後資源価格がこのまま横ばい状態であれば、この範囲内の資源価格高騰はデフレ脱却要因として、日本経済にとってはプラスに働く事になるでしょう。
話がだいぶそれましたが、つまりは資産下落がデフレ不況の負の循環を巻き起こす最大要因であり、そこに追随して発生するデフレ現象を更に呼びこんで負の悪循環を大きく拡大させるというものです。日本が20年にわたって戦ってきたデフレ不況の戦犯は 資産下落 にあるという事です。そしてこの資産デフレを発生させる原因は、それ以前のバブル経済によりもたらされるという事です。
お礼
回答有り難うございます。 デフレに対して紙幣増刷は効果ありそうですね。 公務員と年金受給者にもデフレを望まない人もいるようですね。 私の周りでは、年金受給者や大企業正社員など、収入が安定している人ほどデフレでもいいじゃないかと、デフレに危機感がない人が多い気がします。 ともかく様々な意見があって非常にためになっております。