情報流出があまりにも多すぎて「最悪」に関するハードルを無意識に下げてしまっている方が多いのではないでしょうか。
私には、こういうことを最悪と感じないこと自体が緊張感が欠け過ぎてしまっていることのように思えます。「流出が結果としてよかったのだ」といったような論調が国民の利益に沿っていると考えるのは決して賢いことではないでしょう。
アメリカもウィキリークスで叩かれてますが、そういう状態自体、国際社会の中でアメリカの力を低める働きになります。
情報が漏れて最善だった、ということはウソです。中国の日本の関係で、「真実は漁船の方がぶつかってきたのだ」という証拠を突き付けることになった、というのは、車の事故の責任を問うほどのレベルの発想で、その証拠が「情報流出」によってなされているのですから、肉を切るために骨を犠牲にするような話でしょう。
中国国内でビデオを見て「それなら中国の方が悪いということがわかった」などということを思ってくれるという期待が間違っていますし、国際社会ではみんな中国に対する強硬な対応はとれないでしょう。要するに、中国の方がずっと国際社会に対して無理を言える立場にあるでしょう。そこで、あんなビデオが公開されたからといって、国際社会から日本が同情されるという考があるとすれば、それもまたいかにも日本的な緩さというしかないでしょう。
「どっちが悪い」で解決できるのは、国内問題だけです。その中で、情報流出で、流出した情報の価値は国際社会の中ではかなり低いですね。CNNも郵送された(あれだけ明白な)ビデオを封殺しているわけですね。そうなると、情報が「流出した」という締まりの悪い実態だけ披露したことになりますね。
>北朝鮮にしろ中国にしろ日本の言い分をはいそうですか、、と聞くわけがありません。
というのは、「ビデオを見せたところで、聞く(効く)わけがない」という意味で考える必要があるでしょう。
そして、アメリカはいまリーク問題でいろんな国に言い訳けしたり事実上謝ったりするのに苦労しているでしょう。外交上の信用問題です。日本の場合、政府が秘密とすることを公言していた情報がリークされたのですから(しかもかなりどんくさい経緯で)、そんな緩い国(しかも、すぐ逮捕さえされない・・・しにくいわけですが)は、情報上信用できない、つまり、外交上重要な情報を受け取りにくい、だから、外交上の信頼関係を結びづらいということにこの先ずっと影響していくでしょう。この外交上信頼されないことの損失を金額としてイメージすれば、ほとんど国民の借金か割高な立場を増やしたのに等しいという感覚を持つことができると思います。
ですから、この流出は、日中関係悪化というよりも、外交的な失敗でもあると考える必要があると思いますね。このビデオが日中関係の悪化を最小限に食い止めたというような関係は相当薄いです。逆に、中国に借りをつくっている可能性がありますね。正しい方が借りをつくったことになってしまう場合さえあるのが国際関係というものでしょう。日中関係悪化が最小に抑えられたふしがあるとすれば、それは、日米関係回復を先取りして日中関係を回復不能なところまで追い込まないことが中国にとって戦略的に価値があるからでしょう。日中関係をどうするかが、中国の懐次第で決まるような状態がいまの日本の立場です。政府やマスコミの発信することだけを聞いていると現実逃避になってしまいます。
そして、テレビでしゃべっている一部のインテリなんかが「むしろ最善だった」などとさも賢そうな視点として発言しているわけですが、私から見ると、日本の根本的なダメさを象徴する感覚です。
この言葉は使いたくないですが、残念ながら、島国特有の平和ボケが骨の髄まで染みついているということだろうと思ってしまいます。
「強気に」というよりも、「戦略的」なものがないということで見ておく方がよいと思いますよ。
お礼
皆様いろいろ反応ありがとうございました。 日中関係においては結果的に最善と申しましたが、民主党にとっては最悪ですね。 どうやら犯人が特定されたようですね。動機についてはいろいろ情報が出ていますが本人の記者会見が見たいところですね。 まとめてお礼申し上げます。ありがとうございました。