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東南アジア、韓国のLCCで今後就航しそうなところはありますか?
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- bayu-bayu
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こんにちは。 航空・空港関係の仕事をしている者です。 最近、ずいぶんとLCC(格安航空会社)の話題が取り上げられていますね。 わかりうる範囲で、ご質問にお答えします。 > 東南アジア、韓国のLCCで今後就航しそうなところはありますか? 日本に就航する、という理解でよろしいでしょうか。 現在、アジア地域のLCCで日本に就航しているのは、オーストラリアのジェットスター航空、シンガポールのジェットスター・アジア航空(台湾経由)、フィリピンのセブパシフィック、中国の春秋航空とエアマカオ、韓国の済州航空とエアプサンです。 今後就航を予定しているのは、東南アジア最大手のマレーシアのエアアジア、韓国のジン・エアなどがあります。また、国内のANAが子会社としてLCCを設立すると発表しています。 就航地点としては、もっとも就航可能性が高いのは関西国際空港です。 理由としては、日本の空港(特に成田)に海外の航空会社が就航するためには日本の政府認可(国土交通省航空局)が必要で、国としては現在の関空の著しい地位低下に対する批判を避けたいがために、需要のある成田には許可を出さず、関空にだったら出しますよ、というスタンスでいることです。 最近成田に就航した中東系の航空会社も、関空線を廃止しないという条件付きで成田就航を認めたほどですから。 他には、首都圏第3空港を標榜していた茨城、LCCターミナルの設置を検討している成田、国際線ターミナルを新設した新千歳と羽田、アジアから近距離の福岡と北九州のあたりが、海外のLCCからは注目されている空港です(新千歳・羽田以外はすでにLCCが就航済)。 逆に、日本からの便が就航する都市は、現在就航しているオーストラリアのケアンズ・ゴールドコースト・シドニー、シンガポール(台北経由)、台湾の台北、中国の上海とマカオ、韓国のソウル・釜山・済州島、フィリピンのマニラです。 近い将来には、マレーシアのクアラルンプールが追加される予定です。 余談ですが、世間のLCCに対する期待が高まる一方で、我々航空関係の専門家サイドでは、将来展望は明るくないと見ています。 なぜなら、LCCは安い運賃が武器ですが、日本の航空旅客の土壌は、格安志向がそれほど強くなく、海外のように格安航空が発展するほど交通網が整備されていないわけではないからです。 先に挙げたマレーシアのエアアジアは、多くの旅客が今まで陸路(鉄道・高速バス)で移動していた人たちか、出稼ぎ労働者、低所得者で長距離の移動をしていなかった人たちです。 そのため、今まで就航していた大手航空会社の旅客がLCCに移った割合は非常に少なく、大手も旅客を伸ばしつつ、LCCは新たな旅客層を開拓(創出)して成長しています。 しかし、日本の場合は、すでに年間1億人を超える国民が飛行機で移動し、3000万人以上が海外旅行をしています。すでに航空旅客を新たに創出する余地は少なく、LCCが発展しても大手の旅客を奪うだけですので、いずれLCCの運航に規制がかかり、発展を阻害する可能性があります。 安ければいい、と思う人がそれほど多くないというのは、今までLCCと名乗っていた数々の新規航空会社が経営難に陥っていることからも明らかで、海外からLCCが沢山就航しても、同じ路線を飛ぶ大手の旅客が奪われるだけとなります。 現在、日本に就航するLCCは、未だ実験段階と捉えている航空会社が多いのが実情です。 オーストラリアのジェットスター航空は、大手カンタスの子会社ですが、ジェットスターが格安で就航した代わりにカンタスの旅客は減り、カンタスは運航便数を減らしています。 すると、カンタスにはあったファースト・ビジネス席の旅客は、ジェットスターの狭い座席と低いサービスレベルを嫌い、オーストラリアへの渡航を嫌がるようになり、結果として客層が若く安さだけを求める人々ばかりになり、オーストラリアにおける日本人相手の観光業にも少なからず打撃を与えています。 このように、LCCの就航というニュースだけをみると安くていいことづくめのようですが、LCCによって短距離路線の旅客を奪われた大手航空会社が経営体力を消耗し、将来的にサービスの低下や長距離路線からの撤退も行われるようになって、結果として国民の移動に不便を強いることになると予想されています。 余談が長くなりましたが、将来的にも日本でのLCC就航は限定的になると思われます。 日本は、今海外でLCCが発展している土壌とは異なるということは、念頭に置いておいた方がよいと思います。 それでは。