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携帯料金から徴収のユニバーサルサービス料とは?
携帯料金から徴収のユニバーサルサービス料とは? 「NTTの加入電話網を維持するための費用を、携帯電話やIP電話の回線ごとに徴収する『ユニバーサルサービス制度』というものがあります。どんな仕組みになっているのか、加入する携帯電話会社に聞いてもよく分かりません」=東京都葛飾区の30代の男性会社員
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■?抜かずの宝刀? ユニバーサルサービス制度とは、過疎地の加入電話や公衆電話、110番、119番といった緊急通報など「国民生活に不可欠なサービス」の維持費を、携帯電話を含むすべての回線保有者が負担する制度で、現在は月額8円が利用料に加えて徴収されている。 「えっ! そんな費用払っていたの」と知らずに払っていた人もいるはずだ。 電電公社を引き継いだNTT東西が利益をこれらの維持費に回すことでまかなってきたが、事態が変わったのは、携帯電話やIP電話(インターネット回線を利用した固定電話)の増加と反比例する形で起きた加入電話数の減少だ=グラフ参照。 国は平成14年、ほかの通信事業者も維持費の一部を負担するこの制度を創設したが、すぐには運用されなかった。「いざとなったら拠出するが、『リストラしろだとか口出しもするぞ』とちらつかせ、NTTに合理化努力を迫る?抜かずの宝刀?だった」と経済ジャーナリストの町田徹氏は解説する。 だが、加入電話数の減少はとまらず、「努力を上回るスピードで収益が減り、マイナスを抱えていくのが難しくなった」(NTT東日本)。NTT東西合わせて17年度のサービス維持に伴う赤字は約518億円に上り、国は制度の運用を決定。19年1月から回線ごとに7円の徴収が始まった。 とはいっても維持費の全額が拠出の対象になるわけではない。制度は総務相から認可された電気通信事業者協会が運用。負担額は毎年見直される。 21年度の場合、ユニバーサルサービス維持に伴う前年度の赤字は約1312億円。うち著しい高コストの過疎地に対象を絞り、費用を最も低価に抑える計算式を当てはめ、拠出総額として約188億円を算出した。これを回線総数約1億8890万で割った上で月額を四捨五入し、現在の8円がはじき出された。 つまり拠出されるのは赤字分の1割強で、NTTが「身銭を切っている」(同)状態は続いている。 ■「光の道」へ それでも「なぜ、加入電話でない携帯電話の利用者まで負担しなければならないのか」との疑問は残る。 総務省の担当者は「携帯電話から過疎地の加入電話や緊急通報に電話がかけられる。加入線網が維持されているからこそで、受益者ということで公平に負担してもらっている。ただ、負担額を利用料から徴収するかは各事業者の判断に委ねている」と説明する。 これに対し、「新たに加わる費用であり、企業努力で何とかなるものではない」(ソフトバンクモバイル)と、ほぼすべての通信事業者が月額利用料から徴収する方式を取っているのが現状だ。 公平性を打ち出すなら、「携帯電話やIP電話網の維持費もユニバーサルサービスの対象に加えては?」と思えるが、これは制度発足当初から国や専門家の間で議論が重ねられてきた。 携帯電話については、電波が届かない地域が存在する▽サービスが高度・多様化し、生活に不可欠なサービスを維持するという制度の概念になじまない|として対象から外されている。 IP電話については「050」番で始まるものとは別に、加入電話と同様の番号が振り分けられ、緊急通報もできる光回線を使った「光IP電話」が急速に広まっており、普及率に応じて対象に加えることも検討されている。 さらに新たなユニバーサルサービスに浮上したのがインターネットの高速大容量通信を可能にするブロードバンド網だ。町田氏は「遠隔医療や遠隔教育を考えると、ブロードバンド網こそ過疎地で使えなければ意味がない」と指摘する。 原口一博総務相が立ち上げた専門チームが今年5月、「光の道」構想として27年をめどに100%普及を目指し、基本的方向性をまとめている。 対象が広がれば広がるほど、制度が複雑化するのは避けられないが、現状でも国や事業者が費用を負担する利用者の理解を十分に得ているとは言い難い。総務省では「制度が分かりにくいのは事実で、周知のための地道な努力を今後も続けていきたい」としている。(桜井紀雄) ◇ 「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。