水質汚濁の原因は、大きく2つです。
1つは、ポイ捨て投棄などによるゴミが雨などで川に流れ込み河川が汚れるというパターン。
これは、下水が整備されていようがいまいが、大人であろうが子供であろうが加害者になり得る行為です。場合によって、食べ残しやのみ残しをそのまま河川や地面に捨てればそれが最終的にどうなるかは想像が付くことで、10万人いてそのうち1000人がそういった行動を毎日とっていれば、それなりに河川は汚れます。特に、雨の日に溝などほとんど水の流れない場所の流量が増えると大量のゴミが河川に流れ込み、結果的に海や川が汚れるのです。日本は1億2千万人いますから、その1%がそれに対する節操が完全にないとしても120万人分のポイ捨てゴミが流れ出すことになります。
さらに、それとセットになって問題となっているのは産業廃棄物の不法投棄、不法遺棄、そして敷地内放置です。これは、山に多く産廃をそのままの形で山に捨てたり、自分で山に敷地を買ってそこに置いておき管理しないというパターンがあります。最近は不景気ですから、管理が行き届かず汚染物が流れ出したり、場合によっては会社が廃業して・・・ということも。
尚、最近、太平洋で問題となっているのはこの投棄ゴミ問題で、太平洋上に潮流によってゴミが集まる太平洋ゴミベルトと呼ばれる場所があることが分かっています。
もう一つは、排水。一般に住宅で下水を設置できるのは都市部が中心です。例えば山奥の山村では浄化槽はあっても完全に汚れを取り除く高度下水処理ができるほどの屎尿が集まらない場合もありますし、海沿いや島の古い世帯では、浄化槽を設置するスペースもなく、下水処理の配管を通すにも高低差の都合上難しい場合があります。
住宅の下水処理は、都市部で新しい家ほど進みますが、古い住宅や狭い土地に建てられた住宅、山間や海沿いで土地が低い世帯では、設置自体が楽ではないか設置していないケースも多いです。
工業廃水も然りです。基本的に条例などで義務となっていても、違反者はいつまでもいますからね。さらに、下水が十分に普及していても古くから設置されている下水管の場合は、それに亀裂が入っていて地中でしみ出してしまい地下水が汚れるというケースも希にあります。
まあ、一時期よりきれいになった川もありますが、逆に人口の増加などで汚れている川もあります。ただ全体で言えるのは、人そのものの考え方はあまり変化していないということかもしれません。下水は整備されても、路上で煙草をポイ捨てしたり、ガムをポイ捨てしたり、ペットボトルをゴミ箱以外に捨てていたら、きれいにはならないでしょう。
お金が欲しい余り、産廃を山に投棄している人が、増えればやはり川は汚れます。
そして、これから問題となるのは今の日本の基盤は高度経済成長期に作られており、ライフラインの多くが老朽化しているということです。これを放置すれば同じように、再び汚れが増えるでしょう。