あくまで写真でわかる範囲で考えてみました。
まず、先の全体写真もあわせて見てわかることは「袷の染め小紋」であること。つまり、10月から翌年4月まで着られる街着です。
アップ写真で、柄の下に白い細い線が見えるのは「地模様」(最初に白い生地を織る時に織り出す柄)だと思います。
柄は「亀甲柄地(赤い細い線で書かれている部分も、良く見ると六角形が見えますね)に亀甲紋」。中の柄は向こうが椿、手前は揚羽蝶、どちらも「紋」からとったデザインです。柄の上に細かい白い点がありますね。江戸小紋に使われる鮫小紋かと思います。本来鮫小紋は、無地にその点だけを白くぬいたものですが、このように、いろいろな色柄の中にこんなふうに抜く柄もあります。点がある分、柄の色や線があいまいになって全体にやわらかくなる効果があります。
素材は、実際拝見しないとわかりません。さらっとしている、ということだけでいうなら、地模様もあることだし、時代的に言って絹なら「綸子」だと思います。化繊でも綸子そっくりなものがありますから、近所の呉服屋さんでおききになることをお勧めします。手入れや保管の方法も違いますから。
少し古い時代のおしゃれ着、ちょっとしたおでかけ用というところですね。若い女性向きのものです。