色々なやり方や好みがあるとは思いますが、新古典主義以降のフランスの
アカデミックな手法からいうと、遠景→中景→近景で樹脂や乾性油が飽和状態
にならないように「一連の流れとして」描いて最後全体のヴァルールを見ながら
濃い樹脂の混ざったメジュームで上層面を覆う感じでグレージングします。
その際は陰影の部分や画面内で後退させたい箇所に用い、モデリングに
沿って行ないます。(モデリングとはデッサンの形に添った陰影の方向)
背景だけ完成とか近景だけ完成させるという描き方って難しいでしょ?
陰影のヴァルールとかタッチや全体の雰囲気を崩す恐れのある描きかた
は避けるほうが無難です。まず全体に絵の具が乗るように遠景から描き進めて
部分でグレージングを行なうのが破綻が少ない方法です。
それとも、全体の明度を一旦落として浮き上がらせるように描きおこすやり方
のことですかね?それなら薄く希釈したルツーセや、これまた薄く希釈したダンマル
を使うと良いです。まあ面倒なら豚毛の刷毛でさっと塗っても問題ないと
思いますよ。表面乾燥だけはちゃんとしてれば。(本式のグレージングとは違うけど)
こういう方法は受験の手引き書みたいな油絵の描き方に載ってますので参考に
なると思います。昔の画家はそういう描き方しないのでやり方が違うんですよ。
デッサンと制作の段階で明度を決めちゃうので製作中に全体の明度を落とす
必要がない為です。
明度の決め方といっても大げさなんじゃなく地塗りの色と混色を先に済ました
中心になる色を作ってチューブにいれてたり、現場で作るという意味です。
樹脂使って大丈夫か?ですがツヤが引いたり、事前に層を遮断するには
薄いニス引き(ルツーセ)はよくやる手法ですので心配はありません。
多用は出来ませんけどね、終いには飽和状態になるので。
お礼
cababuさん、いつも詳しく教えて下さりありがとうございます。 お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。 私がやりたいのは、背景を暗くするというよりも、風景画で遠景に霞がかかったようにうっすらと白くグレージングを施すということなんです。 お教え下さったアカデミックな手法でやろうとすると、手前に木を描いた場合、枝葉は塗らないように注意しながらその隙間に見える背景だけにグレージングを施さねばならず、非常に非効率的な作業のように思えます。 薄く塗ったルツーセの上から書くのはよくあることで心配はいらないということですから、やはり背景だけ先にグレージングをやってしまうという場合も全く無いというわけではないのでしょうね。