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債権譲渡と抵当権

平成10年1月30日の最高裁判決に、「抵当権設定権者は、抵当権者からの差押えの前に債権譲渡をすることによって容易に物上代位の行使を免れることができるが、このことは抵当権者の権利を不当に害するものというべき」とあります。 しかし、抵当権そのものは残っているのですから、抵当権者は当該不動産を競売にかければ自らの債権を満たすことができ、この批判はあたらないんじゃないでしょうか? この私の考えに対する批判をお願いします。

みんなの回答

  • mikky777
  • ベストアンサー率69% (44/63)
回答No.4

 この判例の意義は、  1、バブル経済崩壊により、地価が下落し、抵当不動産を競売しても、債権回収が図れなくなった。  2、よって、賃料から債権回収を図るため、賃料に対する物上代位を認めたが、賃料債権を譲渡してしまうと物上代位できなくなるのでは、執行妨害を容易にしてしまう。  3、そこで、債権譲渡よりも、物上代位を優先させることにした。(抵当権に基づく物上代位の差押が債権譲渡より後でも、物上代位優先とした)  4、その理論的根拠として、物上代位の差押の意義は、(従来の判例が採用していた)優先権を保全・公示することではなく、第三債務者を保護することにあり、優先権の保全・公示は抵当権の登記でなされている(抵当権そのものは残っている)。と差押の意義を、優先権保全説から第三債務者保護説に転換した。  ことにあります。  まあ、抵当不動産を競売して債権回収が図れるなら、賃料から回収する必要もない。要は、抵当権者と執行妨害のどっちを保護するべきかという、価値判断の問題ということですね。

  • verve215
  • ベストアンサー率55% (10/18)
回答No.3

たしかに、抵当権者の目的は弁済を受け、債権を満足することですから、競売によってもそれを達成することは可能です. しかし、抵当権者は、「優先弁済」を受けるために抵当権を設定するのであり、抵当権は抵当権者に優先弁済を受けさせるために目的物の価値を直接排他的に支配するための物権です。 とすると、債務者が抵当目的物上に生じた権利を他の債権者への弁済に充てることが可能であるとすれば、抵当権の存在意義が没却されてしまいます。 物上代位372、304も担保物権の優先弁済を満足するために認められたものですから、競売を行った場合には他の債権者に当然に優先するのに、物上代位においては差押えを要求するのにそれが容易に曲げられるのは不合理です。 ご質問に応えるならば、抵当権者は「優先」弁済を受ける権利を有するのだから、「抵当権者が債権を満たすことができる」ことは、その優先権を奪う理由になりえないということになります。 ・なお、賃料に物上代位を認めるべきでないとの主張は、本質問とは関連を生じません。なぜなら賃料債権に物上代位ができないなら、抵当権者と他の債権者の優劣はそもそも問題とならず、判例の主張する「不当に害する」状況は観念しえないからです。 ・賃料債権に対する物上代位は、担保不動産収益執行(民事執行法)の創設以前から可能とする判例がありました。しかしそれが過剰となり賃貸人の管理費すら危うくなるおそれがあったので法改正されるに至りました。 ・債務者ないし設定者からの抵当不動産の第三取得者に対しても物上代位は当然に可能です。物上代位は抵当権という物権の効力ですから、登記が具備される限り物上代位を主張できます。 ・むしろこの判例に対しては、物上代位に差押えを要するのは第三債務者を保護する趣旨である(イタリア法の沿革から?)と判示した点のほうに疑問があります。

  • tk-kubota
  • ベストアンサー率46% (2277/4892)
回答No.2

このご質問は、おそらく「抵当権設定権者は、抵当権者からの差押えの前に所有権を譲渡をすることによって容易に物上代位の行使を免れることができるが、このことは抵当権者の権利を不当に害するものというべき」と云うことではないかと思われます。 そうだとすれば、そのとおりですが、平成16年の法改正で抵当権者である限り「担保不動産収益執行」と云う制度の成立で賃料等の差押えができるようになりました。 ですから、競売してもいいし、収益から回収してもいいことになりました。

  • buttonhole
  • ベストアンサー率71% (1601/2230)
回答No.1

>しかし、抵当権そのものは残っているのですから、抵当権者は当該不動産を競売にかければ自らの債権を満たすことができ、この批判はあたらないんじゃないでしょうか?  もし、御相談者がそのように考えるのでしたら、そもそも論として、賃料について物上代位を認めるべきではないという立場をとることになるでしょう。しかし、最高裁の判例は、一貫して賃料について物上代位を肯定していますから、判例理論からすれば、御相談者の考え方は妥当しないと言うことになるでしょう。