もともとBSEが社会問題となったときに、政府が「全頭検査で安全を確保できる」と根拠もなく言ってしまったことが発端です。その後、現在の検査水準では一定年齢以下の牛の蓄積プリオンは検知不能であることが明らかになり、また特定危険部位の除去でリスク回避が可能であることが明らかになりました。しかしながら、一旦消費者の頭に入ってしまった印象を拭い去るのは極めて難しかったのです。
最近になって、国はようやく全頭検査に科学的な意味はないことを公表しましたが、メディアはあまり正確には報道しませんでした。どちらかといえば科学の部分は無視して、「全頭検査の廃止=アメリカの外圧に負けた」という印象を強く与えようとする意図が見えたように思います。
こうして、全頭検査の廃止を主張する勢力はアメリカの手先=消費者の敵、継続支持派は消費者の味方という構図が出来上がります。産地にしてみれば、全頭検査を廃止することは安全性を軽視していると見られる可能性があり、それがブランド力の低下と販売不振につながることを恐れたのでしょう。
全頭検査が少なくとも安全の保証上で科学的に意味を持たないこと自体は、日本以外のどの国もこの方法を採用していないことでも明らかです。このことは実は業界もきちんと把握していて、私の知る畜産関係者も「意味のないことはわかっている。でもうちの県だけがやめるわけにはいかない」と嘆いていました。
やめたいけれどマスコミに煽られた消費者が怖くてやめられない、というのが実態のように思います。
お礼
回答ありがとうございました。 なるほど、政権交代で変わるかもしれないんですね。