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マーラー「新全集版」(カール・ハインツ・フュッスル監修)
マーラーの1992年「新全集版」では交響曲第1番「巨人」のコントラバスソロが パートソロに変わっているそうですが,これはマーラーのどれかの稿に基づき, これが本当の形だと判断されたものなのか,または,オーケストレーションにおいて この方が望ましいと判断されたものなのか,解釈の根拠となったものは何でしょうか。
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新全集版の「校訂報告」は次の二つの根拠を挙げています。 1)1899年にヴァインバーガー社から出版された初版(この曲の最初の印刷譜です)、その指揮者用フルスコアにおいて、問題の箇所のコントラバスがSOLOとだけ書かれ、ハンブルク稿ほか、その前の三つほどの手書き筆写譜にあった1. Kontrabass(第一コントラバス)というコントラバス一人のソロを明確に示す注釈がなくなっていること。 2)同時に印刷されたパート譜において、コントラバス全員分に問題の旋律が見られること。 以上、二点の根拠をもとに校訂者はこの時点以降、マーラーの意図はコントラバスのパートソロ、つまりユニゾンであったとしています。最近では、この通りの演奏も増えてきましたが、どちらが望ましいかは聴く人の好みによりましょう。ちなみに、私は断然、元のままのコントラバスソロを支持します。
お礼
有難うございました。 1つ目の根拠はマーラー自身の修正でソロが削除されたかもしれないと思いました。 死が迫った時期の作品ならともかく,どうしてマーラー自身が決定稿を 残さなかったのかと不思議に思います。 ユニゾンの方が安定感があると思いますが,不安感が漂うソロもいいと思います。